君の一番になりたい
軽薄で遊んでると言われてるけど、純情で一途な受け。花瓶を割った犯人にされたとき、庇ってくれた攻めにずっと片思いをしていた。
「攻めくん、おはよう!」
「うん、おはよう」
挨拶すると、周囲がいつもしんとする。攻めだけ、まっすぐ返してくれた。そのことに胸がいっぱいになって、「じゃ」と去ってしまう。
その背中に、「何あれ?」と周囲がこそこそ囁いてた。「罰ゲームかなにかじゃない」
そんなことも知らず、受けは落ち込んでいた。
今日も挨拶だけで帰ってしまった。もっと、攻めと仲良くなりたいのに。
でも、自分が話しかけたら迷惑かもしれない。
攻めは学校きっての優等生で、自分は問題児扱いなのだ。攻めを追いかけて入った高校は校風があってなくて、より軽薄に見られていた。
誤解されないように、言動や見た目にも気を配るけど、「あいつは不真面目だから」というレッテルが消えない。
攻めとはちっともお近づきになれない日々だった。
「このままじゃ、なにも変わらない」
友達に励まされ、勇気を出して受けは攻めに告白することにした。
「攻めくんのこと、ずっと好きでした」
一足飛びすぎたけど、必死だった。なんとか、挨拶とかですんじゃう関係を変えたかった。
攻めはじっと黙っていた。馬鹿にもせず、ただひとこと、聞いてきた。
「なんで?」
受けは真っ赤になった。攻めはまっすぐに見つめてきて、逃げられない。受けは、一生懸命、攻めのことを何で好きか話した。
攻めはゆっくり聞いていてくれた。攻めからしたら何でもないことみたいで、「悪いけど、覚えてない」と言った。
「うん、でも俺は嬉しかったんだ」
攻めは優しいから、いっぱい人を助けるのも知ってる。本当に何気ないことだったんだって。でも、嬉しかったし、そういうところも好きだった。
「俺とどうしたいの?」
「それは、その、付き合いたいです」
「ごめん。それは無理かな。誰かと付き合うとかは考えたことないから」
「そ、そっか……」
あっさり振られて、受けはうなだれる。泣きたい気持ちになったけど、こらえた。こんないきなり告白したのに、まっすぐ受け止めてくれた。それだけで十分だ。そう思って、「ありがとう」と言った。
「真剣に聞いてくれて、嬉しかった」
笑って去ろうとして、立ち止まる。
「あの」
「何?」
「俺、攻めくんに話しかけていい?」
攻めが不思議そうな顔をする。受けは言い募る。
「あの、攻めくんとどうこうなりたいとかじゃないんだ。ただ好きでいていい?」
これでだめって言われても、多分諦められないけど、そしたらずっと遠くから見てたらいい。ただ、許されるなら、もっと話とか出来る仲になりたかった。攻めはじっと受けを見て、
「いいよ」
と言ってくれた。受けは泣きたいくらい嬉しかった。
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