あの日にまだ縋ってる24

 
 録画の停止ボタンを押して、俺は止めてた息を吐き出した。

「お疲れ様!」
「サンキュ、理央! どうだった?」

 ほしたちが、楽器をおろして、やってくる。全力で歌いきって、ほおが赤く染まってる。涼しい視聴覚室だけど、皆の額には汗がにじんでた。

「待ってて、再生する」

 動画を皆で早速確認する。ちゃんと撮れてた。音も綺麗に拾えてるみたいだ。俺はほっと一息つく。そうして動画に見入った。

「かっこいい!」

 さっきまで言えなかった言葉が、思いのままに出てくる。すごい迫力だったんだ。音が迫ってきて、ずっと圧倒されてた。

「そうか?」
「うん。すごい気持ち上がる……!」

 こういうとき、いつも楽しく笑い合ってる星たちの、違う世界を実感する。一生懸命感想を伝えると、頭をわしわし撫でられた。

「文化祭で歌うの?」
「おう!」
「あっ、でもな……」

 皆が、膝でにじり寄ってきた。内緒話の顔だったけど、わくわくしてるのがはっきりわかる。俺もちょっとどきどきして、耳をすました。

「その前にライブすんだよ」
「来月!」
「――の真ん中くらい」
「えっ」
「さっきの歌わせてもらうんだ」
「すごい!」

 俺は思わず拳を握って、伸び上がった。星たちが少しはにかんだ。

「つっても、いつもの叔父さんのとこのライブハウスだけどな」
「飛び入りでさ……」
「すごいよ! おめでとう!」

 嬉しくて、俺は落ち着かなかった。星たちは、どんどん夢に向かって進んでるんだな……。友達のやる気に満ちた顔が眩しい。
 俺も頑張るぞ! ぐっと拳を握った。

「あ、あのっ」
「ん?」
「俺も何か、できることとかない?」

 星たちがきょとんとした。

「何か、手伝えることとか……」

 もちろん聞きに行きたいんだけど、ほかにも何か、星たちの力になれたら。いつも、助けてもらってるから。
 皆は俺を見て、破顔した。星にぐっと頭を抱え込まれる。

「わっ」
「なんだよ! かわいいやつ」

 ぐりぐりされて、目を閉じた。星はうれしそうに、「そうだなあ」と目を上に向けた。

「じゃあ、志島しじま先輩誘ってくれね?」
「へっ?」

 俺は目を瞬かせる。星は笑みを深めて、肩をぶつけてきた。

「一緒に聞きに来てくれよ!」
「剣道の大会もその頃には終わってるだろ」
「うん」

 来月の真ん中くらいなら、終わってる。日程を頭の中で確認して頷く。星たちは「頼む」と言った。

「もちろん、お前だけで十分嬉しいけどな!」

 皆の笑顔に、俺はちょっとほうけていた。
 先輩……いつの間に星たちともこんなに仲良くなってたんだろう。すごい。

「わかった。誘ってみる!」
「おう!」

 俺は大きく頷いた。

 
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