あの日にまだ縋ってる22


「おお、さすが!」
「てっぺん横一列、同じ名前やべえ」
志島しじま先輩、えっぐ」
「こら、静かにしろよ。三年授業中だぞ」

 三年の掲示板で、俺たちは感嘆してた。
 先輩は全教科、ほぼ満点に近い点数で一位を取り、二位と大差をつけていた。

「いやーすげーわ」
「あんな点、取ってみたいよな」
「それに準ずる努力が無理」

 ぞろぞろ、二年の棟に戻りながら、俺たちはさっき見たものにひたすら圧倒されてた。
 先輩、すごい……。
 部活もしてるのに、いつ時間があるんだろう。部活だけじゃない。剣道教室にも顔を出して、俺の勉強も見てくれてたのに。
 きっと、すごく頑張ってるんだ。勿論、すごい人なのはわかるけど。先輩の剣道してる時の、気迫のこもった顔を思い出す。

「よかったな、理央」
「うん」

 星が俺の背を軽く叩いた。俺が、先輩の時間を取ってないか不安がってたの、星は知ってるから。よかった。もちろん、だからって甘えないようにしないとだけど……星の気遣いが嬉しかった。

「そう言えばさ。理央お前、講習どうした?」

 廊下を歩きながら、星が思い出したみたいに声を上げた。俺は目線を上げて、頷く。
 うちの学校は、進学に力を入れてるから、夏休みとかに特別講習を開いてくれるんだ。

「俺は出ないかな。補習が被ってるから」

 テストは出られたけど、休んでたぶんの補習とレポートがたくさんあるから、まだ恩恵を受けられそうにはなかった。俺の言葉に、星はからりと笑う。

「そっか! 頑張れよ」
「星たちは?」
「俺も出ない。部活には来るけど」
「俺は出る。塾行かされるより安上がりだしマシ」

 口々に出欠の言葉があがる。星が笑ってまとめた。

「要するに皆、いるからよ。また遊びにこい。新曲聞かせてやる」
「行く!」
「よし。約束だからな」
「うん」

 星は笑って拳を出す。俺も笑って、拳を合わせた。そして、それぞれの教室へと戻っていった。



3/6ページ
スキ