あの日にまだ縋ってる22
中央の掲示板には、生徒たちでごった返していた。テストが終わったら、成績上位五十人が、いつもここに貼り出されるんだ。皆、自分や友達、常連の生徒たちの名前をさして、思い思いに話してる。
「ほら、星あそこ。やっぱ英数つえーな」
「まあな。わかりやすいじゃん」
「むかつく〜」
順位表の真ん中より上あたりを指して、星は余裕の笑みを浮かべた。皆が星を茶化すみたいに小突く。
「次も頼むぜ〜」
「お前がいるから、俺らの人権がかろうじて保ててんだからな」
「いや、一切保ってねーだろ」
肩を組み合って笑ってると、周囲から舌打ちが響く。見れば、同じクラスの生徒たちだった。星たちはふんと笑い返す。
「まあ、順位で人の価値決めるなんてクソだけどよ。実際、上取ると気分はいいよなー」
不敵に笑う星を見て、俺は点数を見上げる。たしかに皆、頑張ってるな。これだけの点数を取るってどれだけ大変だろ。
「お前らも次、頑張れよ」
「いーんだよ。バンド有名になって凱旋すりゃ俺らも史実では優等生になるって」
「どんなスケール」
笑い合う皆の顔は頼もしかった。俺も、次はもっと頑張るぞ。気合を込めて、拳をぎゅっと握った。
「理央、三年の結果も見に行こーぜ」
星が、ぐいっと俺の肩を抱いた。俺は、
「うん」
と頷いた。一年と二年は、同じところに貼り出しだけど、三年だけは別棟だから、掲示場所が違うんだ。
星に引かれて、俺は、掲示板から離れる。その一瞬に、一年の貼り出しの前で、よく見慣れた名前を見つけた。
「またトップは
「何連続目? もう不動だねー」
一年らしい生徒たちの言葉があちこちで聞こえる。
「さすがだね、
そのなかで、聞き覚えのある声が、耳に飛び込んできた。俺は思わずそっちを見る。涼やかな後ろ姿が、人混みの中に立ってた。声はそっちから聞こえる。小さな影が見えた――。
「理央?」
「な、なんでもない!」
止まった星に、笑って首を振る。そして、振り切るように、その場を後にした。