あの日にまだ縋ってる20


「おやすみ」

 理央からのメッセージを、俺は見つめていた。そっとスクショを取る。既読がつくだけでも嬉しい。けど、理央はいつも律儀に返事も返してくれる。
 既読がついて、メッセージが来る瞬間が見たくて、じっと画面をつけたままにしてる。

「気持ち悪い」

 こんなことされたら、俺だったら絶対に引く。わかってても、やめられなかった。
 理央と、またこうして繋がれた。そのことが、こんなに嬉しかった。

「ごめんなさい」

 理央はそう言って、怯えて泣いてた。俺のことをブロックしたことが、俺にバレたときに。
 メッセージじゃなくて、電話がかかってきた時点で、もしかしてとは思ったんだ。そのことは、たしかにショックではあった。理央は、俺から本当に離れようとしたんだって、わかったから。
 けど、それでもまた、連絡を取ろうとしてくれたことで、気を持ち直した。
 理央は、涙に濡れた目で俺を見上げてた。そして俺と、またつながってくれたんだ。
 この間みたいに、連絡がつかないと困るから、なんで。半ば脅しに近い形だった。けど、形なんてどうでもいい。
 理央は頑固なところがあるから、つながったなら、それでいいんだ。
 理央が俺をブロックしたのは、あの日くらいかな。ぼろぼろになって泣きながら、「もういい」って言った日。
 俺は頭を振る。これからだ。時間も、心も。ゆっくりとまた重ねていければいい。

 理央のトークルームをじっと見つめた。

 ずっと音沙汰なかった画面に、「おはよう」と「おやすみ」が並ぶ。理央との時間が、更新されだしてる。それだけで、ひどく嬉しい。
 でも、もっと話が聞けたら。前みたいに、話してもらえたら。
 思うほど、明日が、待ち遠しかった。



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