あの日にまだ縋ってる16


 俺はじっと、着信履歴を眺めてた。
 理央から、電話が来た。理央から。
 スクショもとって、フォルダに保管した。でも、眺めるのはやっぱり、履歴がいい。たかだか、電話ひとつにこの騒ぎ。
 ――ださい。
 そう思うのに、ずっと心が浮き立っていた。

 倒れてた理央を救護室に運んで、教室で待ってた。アルファは立ち入り禁止だから。

「目が覚めたら連絡して」

 ってメッセージは送ったけど、理央は見てなかったたみたいだ。帰ったって聞いたときはちょっとがっかりしたけど、でも。

「明日休むから、迎えに来なくていいよ」

 理央は俺にそう、伝えてくれた。
 わかってる。理央は律儀だから、ちゃんと伝えただけだって。
 けど、理央のなかで、意味のあることに、ちゃんとなってるんだって。その気持ちがずっと俺の心の上を飛んでて、ずっと雨みたいに降ってきた。じわりと染みてく。

 学校に行ってからも、ずっと気持ちが持ってかれてた。

「瀧くん」

 周囲の声も、全部そぞろだった。理央は、どうしてるか、そればかり浮かんでた。
 理央、大丈夫かな。
 何か作って、持っていってあげよう。
 理央はいつも家に一人で、体調悪くても、自分で対処しないといけないから。食べやすいものを。
 何がいいかな。
 胸の中に、じわじわとずっと、甘い何かが侵食してる。

「瀧くん!」

 俺はじっとスマホを操作してた。


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