あの日にまだ縋ってる14


 スーパーをでたら、空が夕焼けになりそうだった。黄色い光が、さっと走ってる。
 きれいで思わず見つめる。

「この季節は、今がいいな」
「はい」

 先輩の声は、俺と同じだった。しばらく、空を見てた。

「じゃあ、送っていくよ」

 先輩のあっさりとした言葉に、俺は驚く。

「えっ、でも……」
「遅くまで付き合わせちゃったし、心配だから」

 そう言う、先輩の声はあったかかった。断るほうが、失礼だって思うくらい。
 俺は、頷いた。先輩に促され、歩き出した。

「ありがとうございます」
「いや。暑くないか?」
「大丈夫です」

 夕日の中、俺と先輩は、話してた。鳥が集団で、飛んでいく。

「すごい」
「集団ねぐらだな」
「え?」
「ああやって、守りあって帰るんだよ」

 見上げる先輩の横顔を見上げた。向こうに星が見えた。

 **

「先輩、ありがとうございます」

 家の前で、俺は頭を下げてた。

「すぐに家に入るんだぞ」
「はい。先輩も、お気をつけて」

 先輩は、俺が家に入るまで、見守っててくれた。優しいんだな。佐保さほちゃんがいるからかな……。

『理央ちゃん、また明日ね』

 ふっと、声が蘇る。
 ぎゅっと胸が苦しくなって、首を振った。関係ないんだから。
 俺は鍵を閉めて、玄関に上がった。床はひやりと冷たかった。


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