あの日にまだ縋ってる14
「いや、まさかこんなところで会うとは思わなかった」
フードコートの席に座って、先輩は項に手をやった。先輩の隣の席にはたくさんのエコバッグが積んである。すごいたくさん、買い物してたみたいだ。
「俺もです」
「偶然もあるものだな……」
先輩は何だか落ち着かなげだった。
俺も、隣のカバンに買った水筒とお茶を押し込んである。
先輩、家がここの近くなのかな? 意外だった。俺はちょっと渋めの紅茶を飲みながら、じっと先輩を見る。
先輩は黒のシャツにパンツで、黒縁のメガネをかけてた。制服じゃないだけで、何だかいつもと違う人に見える。
先輩はコーヒーを飲んでる。すごく大人の人に見えた。目が合うと、はにかまれる。
「今日はいい天気だな」
「そうですね」
「買い物日和だなと思ってな……」
先輩はずっと、なんだか様子がおかしくて。言葉を探してるみたいだった。俺は自然に笑みがこぼれる。先輩も困ったように笑いだした。
「ここにはよく来るのか?」
「はい。近いし、色々あるし……先輩は」
「俺もだ。ここのパンは、美味しいよな」
「わかります」
「はちみつの……」
たくさんの家族や、学生たちで賑わうフードコート。皆思い思いに、食事をとったり、お話してる。
俺と先輩は、ただゆったり話してた。