あの日にまだ縋ってる14
「うーん……」
週末。
俺は大きめのスーパーに来ていた。善は急げで、お茶と水筒を買いに来たんだ。
いつも一人用のだから、ふたりで飲める、大きなやつを選んだ。コップも、先輩の分を買う。
「何がいいかな……?」
じっと見比べる。先輩を思い浮かべて、合う色を思い浮かべる。
「お茶は何にしようかな……」
先輩、何のお茶が好きなんだろう。
聞いておけばよかった……。スマホを取り出して、聞こうか迷う。
「変かな……でも、嫌いなお茶だとよくないし」
迷った末にメッセージを送る。送ってから、いつ返事が返ってくるかわかんないことに気づいた。
おろおろして、とりあえずお茶の成分を無駄に見てたら、スマホが震えた。
『そうだな。強いて言うなら、緑茶か焙じ茶かな」
と帰ってきた。
ほっとして、水出しの緑茶と焙じ茶を買う。
お会計の前に、気が惹かれて、生鮮食品のコーナーに立ち寄った。
果物がたくさんあって、じっと見てしまう。ひとりじゃ食べきれないけど、きれいだなって思う。
香りを吸いすぎる前に、そっと離れた。果物はおいしいけど、水の香りに当てられてしまうことが多いから。
もう一度、お茶を見にいこうとして、すごく背の高い人がいるのに気づく。じっと真剣に、商品を見比べてる。
すごく熱心だなあ。
通り過ぎようとして、俺は「ん?」と二度見した。
「先輩っ?」
「――樟くん?」
よく通る声が、すごく驚いた色をのせて上がった。たぶん、俺も同じような顔だと思う。
俺と先輩は、しばらくじっと見つめ合ってた。