あの日にまだ縋ってる14


「樟くん」

 次の日のお昼、また、先輩がきてくれた。

「先輩」

 立ち上がった俺を手で制して、さっそうと歩いてきた。

「体調はどうだ?」
「あっ……平気です」

 おろおろしてると、先輩は「よかった」と笑った。
 そして、さっと黒のバッグを掲げてみせた。

「お昼にしよう」

 そう言って、先輩が取り出したお弁当に「あ」と、俺は声を上げる。
 大きなお弁当が一つ。

「お皿も持ってきたから、分けて食べよう」

 そう言って、先輩はお皿を渡してくれた。俺は半ば呆然と、それを受け取る。

「先輩……」

 俺はお皿をぎゅっと握った。じわじわ、ありがたさが、染み出してきて。また、泣きそうだった。

「美味しいです」
「そうか。好きなだけ食べてくれ」

 先輩はじゃがいもの肉巻きを食べながら笑った。俺も笑顔がこぼれた。
 どうして、先輩はこんなに優しいんだろう。
 やさしい味付けのご飯が、お腹にあたたかくつもった。



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