あの日にまだ縋ってる14


「けほっ……」

 俺は教室で、ひとり吐いていた。持ってきた袋に吐き出すと、もう一重、袋に入れて固く縛る。涙を拭った。ひどく、情けなくて。
 うがいをしに、廊下に出る。授業中の校舎は、頭の奥が引き込まれそうなくらい、静かだった。
 涙を拭う。大丈夫。きっと、治る。
 瀧に抱きしめられた体が、まだざわめいてる。生徒たちの声が、頭の中に何度も重なる。耳をふさいでも、頭の奥で、何度も響いて。頭を二つに割くみたいな耳鳴りがして、俺はへたり込んだ。
 ふるえだした胸に、頓服を取り出して飲む。錠剤の味に、酸っぱい味が混ざって、よけいつらかった。

「なにをしてるんだ」

 見回りの先生に咎められるまで、俺はそこにへたり込んでた。


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