あの日にまだ縋ってる13

 
「ただいま」

 ドアを閉めて、しっかりと鍵をかけた。しんとした玄関を見つめ、ふ、とため息をつく。
 あれから、ちゃんと勉強できた。ひとりなのが、逆に緊張しないみたいで、発作も起こさなかった。今からご飯を食べて、もう少し勉強を頑張ろう。
 ひんやりした床に上がり、俺は家の中に入った。

 キッチンで俺は、お茶のパックを見つめてた。あの日、母さんが買ってくれた漢方のお茶だった。手の中にやわらかい重みがある。すごく体にあってるみたいで、あれからずっと飲んでる。パッケージをみてると、じわりと、胸にしみる。

「……ハンバーグ、食べようかな」

 ふと思い立つ。
 そっとお茶を戻して、冷凍庫を開いた。最近おかゆばかり食べてたけど、あったかな。母さんはいつも、ハンバーグがあれば頼んでくれた。

「男の子なんだから、お肉食べなさい」

 って。整頓されたお弁当を探った。

「あった」

 ほのかな達成感に満たされる。でも、すぐに不安になった。

「食べられるかな……」

 ハンバーグなんて、すごい久しぶりだ。食べられなくて、残したらもったいない。手のひらに、冷たさが広がってくる。決めるなら、はやく決めないと傷んでしまう。ううと唸る。

「よし」

 思い切ってレンジにかける。庫内に明かりがついて、音が立つのを見て、どきどきしていた。
 食べなきゃ、そう思って、首を振る。

「食べよう」

 元気になるんだ。拳を握った。


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