あの日にまだ縋ってる11

 
 俺と星は、昇降口に座ってた。

「星、ごめん」

 息が落ち着いて、ようやく言葉にできた。

「何いってんだよ。お前は悪くないって」

 星は笑って、スマホをいじってる。

「俺のせいで」
「ばーか。あいつ、俺のことが嫌いなんだよ。いつもギターがうるさいのよって言ってくるし」

 星の励ましに小さくなる。涙がにじんだ。
 ……本当に、何やってるんだろう。クラスの皆の言う通り、迷惑かけにきたみたいだ。美味しくお昼、食べたはずなのに。
 うなだれてると、ぱたぱた足音がした。

「カバン持ってきたぞ」
「大丈夫か」

 皆が、きてくれた。俺は、「ごめん」と繰り返す。

「大丈夫だって」

 皆、俺の肩を叩いてくれた。俺は何度も頷く。せめて、ここで泣いちゃ駄目だと思って。

「ほんとに、一人で大丈夫か」
「うん。ヒートじゃないから」
「そうか? なんかあったら電話しろよな」
「うん」

 皆の心配に、俺はどうにか笑う。そして、靴をはいて立ち上がる。

「ありがとう」

 そう言って、昇降口を出た。階段を降りて、校門に向かう。

「理央!」

 星の声が飛んできた。振り返ると、皆、俺を見てる。

「下向くなよ!」
「明日も、待ってるからな!」

 そう言って、拳を突き出した。俺は、胸がいっぱいになった。

「うん」

 俺も拳を突き出して、それから手を振った。皆の笑顔が眩しい。俺は今度こそ、歩き出した。

 鼻をすすった。どうして、皆こんなに優しいんだろう。俺は、皆に迷惑ばかりかけてるのに。
 相応しい自分になりたい。涙を拭きながら、校庭を歩いた。


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