あの日にまだ縋ってる10
通学路に差し掛かって、俺達と同じ制服の人が、増えてきた。皆が、瀧を見てる。
俺は、息がうまくできなくなってきた。とっさに、ポケットから頓服を取り出して、口に入れる。
かみ砕いて飲むと、意識して、深く呼吸した。
息がうまくできなくなってから、今日が初めての登校なんだ。また、発作が起きたらどうしよう。既にあやしい気配に、必死に気持ちを落ち着ける。
『
先生に言われたとおり、俺はゆっくり息を吸って、吐き出すを繰り返した。
大丈夫。大丈夫。もう迷惑なんか、かけない。
胸の上に置いた手が、震える。握った拳の中が冷たい。
瀧が、俺を見てた。知らない間に、止まってたみたいだ。ごめん、先に行って。
そう言おうとして、止まる。今、声を出すのが、怖くて。
俺は首を振って、手を「行って」と示した。
瀧は黙って、その手を引いた。
校門の隅っこに、俺を引っ張ってく。影の落ちるそこに引き入れられて、俺は戸惑う。
「何飲んでたの」
聞かれて、俺は身を跳ねさせた。
考えなしだった。わざとらしいと、思われたかも。小さくなってると、ため息をつかれた。心臓が冷たくなる。
「苦しい?」
頬に手を添えて、瀧が尋ねた。俺は、息を呑む。瀧の目は、じっと俺を覗き込んでた。
自分も、息ができないみたいな……そんな苦しそうな顔だった。俺は、心がぐちゃぐちゃになる。必死に噛み殺して、堪えた。息ができなくなる。
ひ、と息をのんだ。瀧。
手に触れようと、した。
「
瀧の向こうから、声がした。瀧の友達たちだ。
瀧の手が、ぴたりとこわばる。
俺は、とっさに、瀧の手を払って、駆け出していた。
「理央!」
瀧の声が聞こえた。けど、止まれなかった。俺は呼吸も忘れて、ひたすら、走っていた。