友達の幼馴染への感情がヤバい(希結×那智)
翌朝。
「なあ、希結」
「何ー?」
希結は、鼻歌交じりに、スマホを操作してた。時折、笑みが深まる。
「昨日の人なんだけどさ」
「――何?」
希結の声がざらりと低くなる。俺を見る目は、鋭い険を含んでた。
「そんな意味じゃねえよ、お前の恋人?」
「ああ。まあ……」
一転、希結は頬を赤く染めた。和んだ空気に、俺たちは身を乗り出した。
「いいなあ。やっぱり希結が最初に春か」
「何それ?」
「ていうかすごいイケメンだよな。お前ああいう人がタイプだったん?」
希結は絶対、可愛い子と付き合うと思ってたから。希結が、眉を寄せた。
「別に。タイプとか考えたことないし」
唇を尖らせて、スマホに目を落とした。髪を梳いて、画面を滑る指は軽快だった。
いける。
俺たちは目を合わせ、希結に詰め寄った。
「なあなあ、どういう出会い?」
「東高だよな? 接点なくない?」
「いつから?」
「え、ちょ、何なわけ?」
希結はスマホを手に、身を後ろに引いた。胡乱な目にも、俺達は引かなかった。まあまあと両手を上げながら、分前を求めた。
大が笑って、希結の肩を叩く。
「みんなお前の幸せが嬉しいんだって。お裾分けしろ」
「えぇ……」
希結は、顔をしかめた。俺たちの笑顔を見て、項に手をやった。ゆるく息をついて、答えだした。
「那智くんとはそもそも幼馴染で……」
「へー! でも俺たち会ったときないよな」
「まあ。那智くん俺がここ来る前に遠くに引っ越しちゃったから」
「へー」
俺たちの相槌も神妙になった。俺は、希結が転入してきた日を思い返す。氷みたいに張り詰めてた。
「それで……。この間、再会したっていうか」
「えー!」
「すげーじゃん! よかったな」
「まあ……」
希結はふい、と顔を背けた。形の良い唇には、笑みが滲んでた。スマホをずっと、手の中で弄んでた。
「そっか、頑張れよ!」
「俺ら応援してるぜ!」
俺たちは、希結を思い思いに励ました。
「え、何?」
「グッドラック」
怪訝そうな希結に、大が、サムズアップする。
「なにそれ?」
希結は笑った。