あの日にまだ縋ってる9


 そうこうしている間に、理央の家と、一緒にご飯に行くことになった。理央は来るみたいだった。心が痛みに似て浮き立つ。当たり前だ。俺はそうなるって、わかってた。理央は家族での行事を、絶対に断らないから。けど、それでも嬉しかった。

あやちゃんが、洋食にしようっていうんだけど。ほら、覚えてない? ビーフカツの美味しいところ」

 母さんの言葉に、俺は閉口した。塾帰り、俺のぶんのご飯が並んだテーブルを尻目に、なんとも力が抜けた。……ビーフカツって。

「ちょっと重くない」
「まあ、そうだけど……でも、瀧を気遣ってくれてるのよ」

 そんなことより、自分の子どもを気遣えよ。
 やるせない気持ちで、「なら俺が選ぶから、ちょっと待って」と頼んだ。母さんは、「あら」と目を見開いて、それからにっこりと頷いた。うんざりした。
 しっかりしてくれよ。
 理央は、集まりに来るってことになってからも、学校を休んでる。たぶん、相当無理してご飯に来るんだ。それくらい、わかればいいのに。
 母さんの行きつけのお店や、自分の情報を頼りに、お店を選んだ。その間、ずっと、母さんがにこにこしてるのが、気に食わなかった。


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