君と叶える世界線


 そして英里は今、俺の妹の華に夢中ってわけだ。

 自惚れだけど、華は昔の俺ににてると思う。というか、俺が女の子だったら辿ったライン――まあその上位互換だけど――を綺麗に行くのがわかる顔なんだ。
 英里は、だから求めてるんじゃないかって。
 思うたび、虚しくなるけど、そう思わないと、頭がおかしくなりそうだった。

 十年間思い続けた人に、ガッカリされて、可愛い女の子に夢中になられてる現状が。

「本当に華ちゃん可愛いよな。将来マジ楽しみだわ」
「はは、光源氏みたい」
「俺は一筋だし」

 嘘つき。
 言いながら、死ぬほど虚しくて泣けた。
 なんで、女の子に生まれなかったんだろ。いや、それでも、英里の好みに育ってなかったらアウトか。
 でも、気持ちだけは受け取ってもらえたよな。
 こんなこと、「無神経だ」って怒って済む話だったかもしれない。

 でも。
 男同士でもなきゃ、こうして友達ヅラできないんだ。
 英里は優しいから、絶対に線引くのわかる。
 俺が男だから、こういう扱いなんだよ。
 全部、わかってるんだ。


「咲?」

 英里が、心配げに、俺を見てた。

「どした。具合悪いか?」

 心配そうに聞かれて、胸がいっぱいになる。痛くて切なかった。
 英里はずっと優しい。変わらない。俺が大好きだった英里そのものだ。
 ただ違うのは、俺だけなんだ。俺が、英里の輪から外れた。それだけなのに。

「なんでもない」

 どうしようもなく、辛い。

 目が覚めたら、女になってないかな。そしたら、英里は、もう一度、俺をその輪に入れるか、考えてくれるんじゃないか。

 そんなことを、ずっと夢想し続けている。


 《完》

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