「もっと可愛い子と付き合いたい」と恋人に嘆かれている【3】


「相さーーーーん!」

 走ってきて、背中に飛びつかれる。そのまましがみつかれて、相はあわてておんぶしてやる。

「日夏君、危ないだろう」
「でも、受け止めてくれるじゃないですかあ。えへへ」

 ぐりぐり肩口に甘えられ、相はおろおろする。そんな風にされたことはなかった。

「えっと。今は見回り中だ」

 そっとおろすと、日夏は唇をとがらせた。

「またですか? 俺も風紀に入ろうかな~」
「それは歓迎するが……」
「ほんと? やったあ」

 てくてく隣をついてくる。隣で咳払いが聞こえた。

「委員長。今、仕事中なのわかってる」

 満未が、相をにらんだ。相は「すまない」とうなずく。満未は明らかに怒っていて、はあとため息をついた。

「示しがつかないから。友達出来て、もうどうでもいいなら別だけど」

 ぐっと詰まった。すまない、と言おうとした。

「満未さん、相さんを怒らないでくれよ。俺が勝手にくっついたんだ。じゃ、相さん、後でっ」

 そう言って、駆けていった。その小さな背中を見送って、相は不思議な感慨を持っていた。かばわれるなんて初めてだった。
 肩をつかまれる。満未の華やかな顔が、目の前にある。

「いい加減にしてよ。おまえにとって、風紀の仕事は慰みじゃないなら」
「すまない」

 満未が手を振り払うように離した。明らかに不愉快だという顔に、悲しくなる。もうずっと、満未のこんな顔しか見ていない。仕事に集中しよう。
 相は、気合いを入れ直し、見回りを再開した。


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