俺の友達がバグってる(希結×那智)


「なあ、希結」
「何?」

 翌朝、ご機嫌にスマホをいじってる希結に俺は声を掛ける。

「昨日の人なんだけどさ」
「――何?」

 一瞬すげえ険のある目で見てこられて、俺は飛び上がった。怖い怖い!

「ちょ、そんな意味じゃねえよ、お前の恋人?」
「ああ……まあ」

 その予定。
 顔を赤く染めて、希結が言う。
 こういうところ可愛げあるよな。どうあがいても泥臭い俺は羨ましい。

「いいなあ。やっぱり希結が最初に春か」
「何それ」
「ていうかすごいイケメンだよな。お前ああいう人がタイプだったん?」

 希結は女扱いされるのが死ぬほど嫌いだから、絶対可愛いのに行くと思ってた。あの人、希結のこと可愛いなーって思ってるのがはっきりわかる態度だったし。

「別に、タイプとかあんまりそういうの考えたことないし」

 唇を尖らせて照れて言ってる希結に、いけると踏んだ俺たちはどやどやと集まる。

「なあなあどういう出会い?」
「東高だよな? 接点なくない」
「いつから?」
「え、ちょ、何なわけ?」

 俺たちの余りの押しの強さに希結は引いてる。しかし、恋バナに飢えた中学生だ俺たちも。幸せならば、話を聞いてもよかろう。大が笑って希結の肩を叩く。

「みんなお前の幸せが嬉しいんだって。お裾分けしろ」
「えぇ……」

 たじろぐものの、希結も話したかったらしい。ぽつぽつとだけど聞かれたことに答えだした。懐こいなお前。

「那智くんとはそもそも幼馴染で……」
「へー! でも俺たち会ったときないよな」
「まあ。那智くん俺がここ来る前に遠くに引っ越しちゃったから」
「へー」

 たしかに希結のやつは、小等部の二年の時に転入してきたんだよな。俺は同じクラスだったからよく覚えてるぜ。
 美少女顔負けの綺麗な面がどっか張り詰めてて、ちょっと怖かった。強いアルファだしさ。

「……まあ、それで、この間再会したっていうか」
「えー! すげーじゃん! よかったな」
「まあ……」

 なんてことないでーすって素振りをしているが、嬉しさが隠しきれていない。スマホをもう机に置けばいいのに、手の中で弄んでる。
 可愛いなこいつ。
 心は一つだったのか、皆にこにこしてる。

「何?」

 と、希結が胡乱な目で見ていた。

「いや、頑張れよ!」
「俺ら応援してるぜ!」

 希結は、「なにそれ?」と言いつつ、口もとを綻ばせていた。

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