俺たちの絆のかたち(俺だけいつも枠の外)
放課後、俺は決意していた。
「友のお見舞いに行こう!」
友へのノートをかきあつめ、支度をする。
「とりあえず一度家に帰って、それからお見舞いにいこう」
お見舞いには、いり用のものとかもあるしね。うんうん悩んでるより、行動したほうが早い。
まあ、具合悪い時に誰かいるの、友苦手かな? とか、そこは不安だけど。それなら、家政婦さんにノートと手紙を渡したらいいんだもん。
こういうときにこそ、俺の出番ではないかな? 二人が苦しい今、一生懸命ささえるんだ。
決意を胸に帰ろうとすると、「おい」と、襟首を後ろからつかまれた。
「ぐえっ」
喉を押さえて振り返ると、攻めが立ってた。
「ちょっと付き合え」
そう言って、攻めは背を向けて歩き出した。え? どゆこと? ぽかんとしてると、攻めは「早くしろ」と怒鳴った。俺は慌てて、ついていった。
連れてこられたのは、攻めの家だった。俺は所在なく、リビングに座っていた。
「攻め、何か手伝おうか?」
「いらねえ」
攻めはキッチンに立って、手際よく料理を作ってる。真摯な様子に、俺は黙ってそれを見守った。
あっと言う間に、テーブルにはたくさんの料理が並んでた。
「わあ、すごいね」
「うるせえ」
攻めはそれらを、タッパーに盛り付けた。そうして、袋に入れる。紅茶をいれると、水筒の蓋を締め、それも。
「これ。友に持っていけ」
「えっ」
「食べ物とかノートとか、用意したから。渡して、友を看病しろ」
家はわかるだろ。
攻めは懐から、一冊のノートを取り出した。
「どうやったらいいかは、ここに全部書いてある」
俺は受け取って、それを見る。細かい字で、びっしり、看病やサポートの仕方が書かれてた。
「この通りにやれ。わかんねえことは聞け」
俺はページをぱらぱらめくる。すごい量だった。
「いいな! そのとおりにやれよ」
「わ、わかった」
攻めが俺に念押した。俺はちょっとぽかんとしたまま、頷いた。そして俯く。
「でも、俺も友のお見舞い……」
「ふざけんな!」
攻めがテーブルを叩く。立派なテーブルは、きしまないんだね。
「余計なことしたら友が疲れるだろうが! お前は傀儡でいろ!」
「で、でも……俺もオメガだし、わかることも」
「――お前に友の何がわかんだよ! 俺のほうがよく知ってる!」
攻めは声を張った。俺に荷物を持たせると、背を押した。
「お前は俺の代わりだ。わかったらとっとと行け!」
おろおろ、振り返ると、攻めが念押した。ぐいぐいと俺を玄関まで追いやる。
「洗い物とか持って帰ってこい! ちゃんとしろよ!」
しなかったら、承知しねえからな!
そう言って、攻めはドアを閉めた。
俺は荷物を持ったまま、立ち尽くした。ま、まーじっすか。
俺もノートとか、色々準備したんだけども……けど、攻めの傷ついた目がよみがえる。
けど、すごく必死だった。友のために……。
俺は気を取り直した。そうだね。ここは、俺がひと肌脱ぎますか!
俺は、友の家へと、足を向けた。