一緒の時間を過ごしたい(俺だけいつも枠の外)
「受け〜! ちょっとおねがーい!」
母さんに呼ばれて、俺はテキストとペンを放って立ち上がった。てってっと階段を降りる。
「どしたの?」
「悪いんだけど、ちょっとアイス買ってきてくれない?」
もうすぐなくなっちゃうから、と母さんは俺にお金を渡した。
「おつりは、好きなもの買ってくれていいから」
「やったぁ!」
俺はふたつ返事で引き受けた。保冷バッグを背負って、玄関で靴を履く。
「他になにか欲しいものあったらメッセージ送っておいて」
「はーい。ありがとうね」
行ってきます、俺は意気揚々と家を出た。
なんだか得しちゃったな〜。
自転車を悠々と走らせながら、俺は鼻歌を歌う。攻めと友の顔が浮かぶ。
「何か買っていってあげよ!」
俺はペダルをぐんと踏み込んだ。
「えーと、これと、これとこれと〜」
行きつけのお菓子屋さんのアイスコーナーで、皆の好きなアイスを買った。ファミリーパックの袋で、買い物かごはいっぱいになった。
「こんなもんかなぁ?」
最近暑くなってきたし、皆喜ぶぞ。
嬉しそうにアイスを食べる皆の顔を思い浮かべて、俺はいそいそとレジに向かった。
保冷バッグにアイスを詰めて、俺はお釣りを確認する。アイスが溶けない内に、早く決めないとね。そっとお日持ちのお菓子コーナーへと向かう。
何を買おうかなあ。いつもはアイスコーナー一直線だけど……たくさんあって目移りするなあ。
「最近授業は理数多いし、頭疲れるから甘いものがいいよな」
友も攻めも、甘いもの好きだし! 俺はお菓子を手に取る。
「攻めはあんこもの、友は洋菓子が好き……」
お釣りに限りはあるし、なんかいい感じのものはないかなあ。
「これおいしいよね」
「めっちゃ好き〜」
隣で女の子の明るい声がして、俺はそっちに目を向けた。なんだろう? 女の子たちがそれを持って、嬉しそうにレジに向かったのを見て、確認した。
「バターどら焼きかあ」
これって、和も洋も満たせるお菓子では!?
「いいかも!」
これに決めたと、再びレジに向かった。
「ありがとうございました〜」
足取りも軽く、俺は店を出た。自転車を走らせる。
「ふたりとも、喜んでくれるかなあ」
ふと、空を見る。夕焼けになる前の、黄色い空が、一面に広がって、すっと辺りを照らしてる。
「すっげーきれー……」
さぁって頭のなかが冴えるみたいだ。白い光がすーって走ってる。
「やべ! 急がなきゃ」
いいもの見た……。俺は笑顔のまま、ペダルをくるくる回した。
「ただいまー!」
「受け、ありがとう」
冷凍庫にアイスを仕舞うと、手を洗って、ご飯作ってる母さんを手伝う。カレーの味見をしながら、俺は明日のことを思い浮かべてた。
楽しみだなあ。はやく三人で食べたいな。