学期末の頃(あの日にまだ縋ってる・星視点)


 学期末テストの返却もすんで、俺等の高校一年の生活が終わろうとしてる。ピリピリしたマウント意識と解放感がクラスには混じり合ってた。

「理央(りお)、俺らカラオケ行くけどどう?」

 俺が聞くと、教科書をせっせとカバンにしまってた理央が、「うん」と顔を上げた。

「行きたい」
「よっしゃ」

 俺は薄っぺらい肩を抱いた。背が高い割に、ほそっこいんだよな。理央はくすぐったそうに笑った。

「体調大丈夫か?」
「うん。平気」
「お前あんまりがなるなよ。理央倒れっから」
「うるせえな」

 笑ってると、周囲から舌打ちが飛んだ。

「っせえな」
「落ちこぼれは楽でいいよな」
「勉強しろよ」

 不機嫌そうに、にじったみたいな笑顔で、ぼそぼそ言ってる。こういうときでしか、笑顔になれないやつってキツイよな。成績がいいのが至上の進学校で、半端に成績いいやつほど、あんまり楽しそうじゃないんだよな。
 まあ、俺等は確かに嫌われ者の軽音部だし、成績もよくないけど。理央は明らかに萎縮してた。俺は肩を叩いてやる。

「気にすんなよ」
「ごめん」

 理央のやつは、俺らが言われるのは、自分が劣等生だからって思い込んでる。
 理央は確かに成績は良くない。っていうのも、オメガで体調悪くて、学校これてないから。
 今回もレポートと補習でどうにか抜けた感じ。それを、理央はひどく申し訳ながってる。気にすることないのにな。
 で、理央は明日からまた補習だから、今日誘ったってわけだ。

「でも珍しいな。早瀬(はやせ)くんはいいのか」


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