「笑顔が嘘くさい」と言ってきた転校生が恋人の親友になった
幸人の腕の中で、和希は目を覚ました。あれから、ずっと幸人は、自分を愛してくれた。「好きだ」と言って、ずっと抱きしめていてくれたのだ。
涙でぐちゃぐちゃのひどい顔を、「きれいだ」と言って、キスをしてくれた。
西日が、和希の部屋に差し込んでいた。授業を一日、休んでしまった。休ませてしまった。昨日からずっと、迷惑をかけどおしだ。それなのに、傍にいてくれて嬉しかった。ひさしぶりに、こんなに長い時間、幸人と過ごしている。
幸人に許されて、和希は自分の体が、なくなってしまうようだった。
幸人とひとつになりたい。そしたら、離れなくて済むのに。幸人に身を寄せる。部屋着がわりのやわらかいスウェットに頬をうずめた。
「和希」
起こしてしまっただろうか。和希は身を固くするが、寝言だった。ぎゅっと抱擁を固くされる。寝ているのに、そう思うと息がつまるほど幸福だった。
「好き、幸人」
大好き。離れないで。和希は、ぎゅっと、すがりついた。
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