第一章 ~再会~(49P)
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「何で俺が仕留められなきゃなんねーんだよ!」
そう土方が怒鳴りつけるも、沖田が振り返る事は無い。
「ったく、総悟の野郎……」
チッと舌打ちする土方だったが、その口の端は上がっていた。長い付き合いから、総悟が全てを自分に任せた本当の意味は分かっている。
「仕方ねェな。面倒くせェが真選組副長として、この件については最後まで見届ける義務がある。俺がここにいる間に、さっさとやる事やっちまえってんだ」
そう言って土方は足元の手ごろな瓦礫に座り込むと、もう何本目か分からない煙草に火を点けた。そんな土方を見ながら、ようやく痛みの落ち着いた柚希がゆっくりと体を起こして言う。
「ありがとう土方さん。銀時の周りには、良い人ばかり集まってるのね」
「はァ!? 俺たちはそ……ッ」
「そんなんじゃねェ」と言いたかったのに、柚希があまりに優しい眼差しで自分を見ていたから。思わず言葉に詰まった土方の頬は、少し赤らんでいた。
「土方くーん。何赤くなってんのさ」
土方が赤くなった事に気付いた銀時がからかうと、バカバカしい、という態度を見せつけるように高速で煙草をプカプカとふかす。だがそのあまりにもあからさまな動揺に、若者達の動向を見守っていた源外にまでも呆れた表情で見られてしまい、土方はいたたまれなくなった。
「お、俺は忙しいんだ! これ以上ノロクサやるってんなら、全員屯所にしょっ引いてやんぞ!」
「だとよ、銀の字。腹が決まったんなら、いい加減動いちまおうや。今は花の香りとやらで正気を取り戻せたようだが、またいつ何時このねーちゃんの意識がぶっ飛んじまうか分からねェからな」
このままでは話が進まないだろうと思った源外は、キレる土方の言葉を受け取り先を促す。柚希と銀時が頷くのを確認すると、先ほど引き出したコードの先を摘まんで言った。
「上手くいけば、外すのは一瞬じゃ。ただ相当の痛みを覚悟しておいてくれ」
「はい。元々源外様とお会いしていなければ、最悪引きちぎる事も考えていたので、覚悟はできています」
「……見かけによらず、恐ろしいねーちゃんだな……」
苦笑いする源外に、何故か照れ笑いを返す柚希だったが、すぐに真剣な表情に戻ると頭に手を当て、一本のピンを外した。どうやらそれは、中に微量の粉を入れられる作りとなっているらしい。
「そうは言っても痛いのは嫌ですから。いつでも使えるようにと先日、麻酔を調合しておきました。あ、例の廃棄したはずの物とは違う完成形です。これを飲んでおけば、少しは違うはずなので……」
以前土方と出会った薬局で調達していた薬が、まさかこのような形で持ち歩かれていたとは。さすがの土方も想像をしてはいなかったらしく呆気にとられていたが、それはすぐに小さな笑みへと変わった。
薬を口にした柚希は、促されて銀時の膝に頭を乗せる。何も言わずとも握ってくる銀時の手を、柚希はそっと握り返した。
「今まで忘れていた分、思い出したらたくさん話をしようね、銀時」
「ああ、いくらでも付き合ってやるさ」
銀時の言葉に微笑みながら頷き、ゆっくりと目を閉じる。
「源外様……お願いします」
「分かった」
そこからは、誰も口を挟まない。源外はコードの先端で柚希のピアスに触れると、もう片方の手で扇子を振った。
そう土方が怒鳴りつけるも、沖田が振り返る事は無い。
「ったく、総悟の野郎……」
チッと舌打ちする土方だったが、その口の端は上がっていた。長い付き合いから、総悟が全てを自分に任せた本当の意味は分かっている。
「仕方ねェな。面倒くせェが真選組副長として、この件については最後まで見届ける義務がある。俺がここにいる間に、さっさとやる事やっちまえってんだ」
そう言って土方は足元の手ごろな瓦礫に座り込むと、もう何本目か分からない煙草に火を点けた。そんな土方を見ながら、ようやく痛みの落ち着いた柚希がゆっくりと体を起こして言う。
「ありがとう土方さん。銀時の周りには、良い人ばかり集まってるのね」
「はァ!? 俺たちはそ……ッ」
「そんなんじゃねェ」と言いたかったのに、柚希があまりに優しい眼差しで自分を見ていたから。思わず言葉に詰まった土方の頬は、少し赤らんでいた。
「土方くーん。何赤くなってんのさ」
土方が赤くなった事に気付いた銀時がからかうと、バカバカしい、という態度を見せつけるように高速で煙草をプカプカとふかす。だがそのあまりにもあからさまな動揺に、若者達の動向を見守っていた源外にまでも呆れた表情で見られてしまい、土方はいたたまれなくなった。
「お、俺は忙しいんだ! これ以上ノロクサやるってんなら、全員屯所にしょっ引いてやんぞ!」
「だとよ、銀の字。腹が決まったんなら、いい加減動いちまおうや。今は花の香りとやらで正気を取り戻せたようだが、またいつ何時このねーちゃんの意識がぶっ飛んじまうか分からねェからな」
このままでは話が進まないだろうと思った源外は、キレる土方の言葉を受け取り先を促す。柚希と銀時が頷くのを確認すると、先ほど引き出したコードの先を摘まんで言った。
「上手くいけば、外すのは一瞬じゃ。ただ相当の痛みを覚悟しておいてくれ」
「はい。元々源外様とお会いしていなければ、最悪引きちぎる事も考えていたので、覚悟はできています」
「……見かけによらず、恐ろしいねーちゃんだな……」
苦笑いする源外に、何故か照れ笑いを返す柚希だったが、すぐに真剣な表情に戻ると頭に手を当て、一本のピンを外した。どうやらそれは、中に微量の粉を入れられる作りとなっているらしい。
「そうは言っても痛いのは嫌ですから。いつでも使えるようにと先日、麻酔を調合しておきました。あ、例の廃棄したはずの物とは違う完成形です。これを飲んでおけば、少しは違うはずなので……」
以前土方と出会った薬局で調達していた薬が、まさかこのような形で持ち歩かれていたとは。さすがの土方も想像をしてはいなかったらしく呆気にとられていたが、それはすぐに小さな笑みへと変わった。
薬を口にした柚希は、促されて銀時の膝に頭を乗せる。何も言わずとも握ってくる銀時の手を、柚希はそっと握り返した。
「今まで忘れていた分、思い出したらたくさん話をしようね、銀時」
「ああ、いくらでも付き合ってやるさ」
銀時の言葉に微笑みながら頷き、ゆっくりと目を閉じる。
「源外様……お願いします」
「分かった」
そこからは、誰も口を挟まない。源外はコードの先端で柚希のピアスに触れると、もう片方の手で扇子を振った。