第一章 ~再会~(49P)
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「今の内に任せて良いか? じーさん」
扇子の確認が出来たのか、銀時のすぐ横に座り込んだ源外は、ふむ、と頷く。
「わしゃァ構わんが、前に伝えておいたリスクは忘れてねェな?」
「ピアスを外しても、全ての記憶が戻るとは限らねェ。下手すりゃここ最近の記憶までぶっ飛んじまうって奴か」
「そうじゃ。あるいは一気に記憶が戻る事で、精神的にやられちまう事だって考えられる。そん時ゃァ銀の字、お前さんが支えてやれる自信はあるか?」
そう言いながら銀時の返事を待たず、源外は扇子の要に仕込まれていた小さな部品を外すと、中から細いコードを引き出した。
「さァ答えろ、銀の字。どんな結果であろうと、お前は逃げずに立ち向かえるか?」
源外の言葉に、銀時は黙り込む。
――柚希が何も思い出せなくても……例え壊れちまったとしても、側にいて守り続ける自信はある。だがもしもの時、柚希自身の心はどうなる? 勢いに任せて記憶を取り戻させようとしちゃァいるが、本当にこんな危険な賭けをさせちまっても良いのか?
何を今更、とは思いながらも弱気になってしまう自分をごまかせない銀時は、迷いを心に宿したまま柚希を見た。
すると、気絶していたはずの柚希の目がゆっくりと開かれ、自分に向けられる。
「花の香りが……私を引き戻してくれたよ……。ねぇ銀時、私はきっと大丈夫だから記憶を……本当の私を取り戻させて……!」
未だ意識がはっきりしていないのか虚ろな表情ではありながらも、伝わってくる柚希の決意。その言葉は銀時の心の不安を吹き飛ばし、笑みを浮かばせた。
「当たり前だろ。さっさと余計なモンは取っ払って、俺とあつ~い夜を過ごす約束だもんな」
「うわ~、こんな時にセクハラ発言してるオヤジがいまさァ、土方さん。このまましょっ引いて良いですかィ? ってーかもう面倒くせェしこのまま斬っちまいやしょう」
土方をからかうのにも飽きたのか、ツカツカと二人の元へやって来た沖田が、再び柚希の顔を覗き込んで言う。
「アンタが何者かは知らねェが、真剣に戦やァ俺の知ってる女の中では二番目に強いと踏んでる。さっさと記憶を戻して、今度は本気で遊びましょうや」
さりげなく刀を銀時に突きつけ、「うわっ! 危ねェだろうが!」と慌てる銀時を横目に笑う姿は、とても楽しそうだ。そんな沖田に対して柚希が言った言葉は、
「ありがとう」
だった。
同時に向けられた柔らかな微笑みが、思わず沖田の目を見開かせる。柚希が伝えようとした事の意味を理解してしまった沖田は、バツが悪そうに刀を収めた。
――この女……ここには俺しか来られないよう隊士たちの足止めをしといたのも、こっそり工房を抜け出そうとしてやがったジジイを締めあげて話を聞いちまった事で、本気で敵対する気は無かったってのもお見通しだったって事ですかィ。
面白くねェ、と心底嫌そうな表情を見せた沖田は「あーあ、やってらんねーや」とボヤキながら、先ほどから放置したままのバズーカを拾い上げる。
「後は任せやしたぜ、土方さん。俺は隊士たちを連れて屯所に戻ってまさァ。ったく、とんだ茶番に付き合わされちまったぜィ」
と言ってバズーカを右の肩に乗せると、何故か「次こそは土方を仕留めてやる……」と呪いの言葉を吐きながらその場を立ち去ってしまった。
扇子の確認が出来たのか、銀時のすぐ横に座り込んだ源外は、ふむ、と頷く。
「わしゃァ構わんが、前に伝えておいたリスクは忘れてねェな?」
「ピアスを外しても、全ての記憶が戻るとは限らねェ。下手すりゃここ最近の記憶までぶっ飛んじまうって奴か」
「そうじゃ。あるいは一気に記憶が戻る事で、精神的にやられちまう事だって考えられる。そん時ゃァ銀の字、お前さんが支えてやれる自信はあるか?」
そう言いながら銀時の返事を待たず、源外は扇子の要に仕込まれていた小さな部品を外すと、中から細いコードを引き出した。
「さァ答えろ、銀の字。どんな結果であろうと、お前は逃げずに立ち向かえるか?」
源外の言葉に、銀時は黙り込む。
――柚希が何も思い出せなくても……例え壊れちまったとしても、側にいて守り続ける自信はある。だがもしもの時、柚希自身の心はどうなる? 勢いに任せて記憶を取り戻させようとしちゃァいるが、本当にこんな危険な賭けをさせちまっても良いのか?
何を今更、とは思いながらも弱気になってしまう自分をごまかせない銀時は、迷いを心に宿したまま柚希を見た。
すると、気絶していたはずの柚希の目がゆっくりと開かれ、自分に向けられる。
「花の香りが……私を引き戻してくれたよ……。ねぇ銀時、私はきっと大丈夫だから記憶を……本当の私を取り戻させて……!」
未だ意識がはっきりしていないのか虚ろな表情ではありながらも、伝わってくる柚希の決意。その言葉は銀時の心の不安を吹き飛ばし、笑みを浮かばせた。
「当たり前だろ。さっさと余計なモンは取っ払って、俺とあつ~い夜を過ごす約束だもんな」
「うわ~、こんな時にセクハラ発言してるオヤジがいまさァ、土方さん。このまましょっ引いて良いですかィ? ってーかもう面倒くせェしこのまま斬っちまいやしょう」
土方をからかうのにも飽きたのか、ツカツカと二人の元へやって来た沖田が、再び柚希の顔を覗き込んで言う。
「アンタが何者かは知らねェが、真剣に戦やァ俺の知ってる女の中では二番目に強いと踏んでる。さっさと記憶を戻して、今度は本気で遊びましょうや」
さりげなく刀を銀時に突きつけ、「うわっ! 危ねェだろうが!」と慌てる銀時を横目に笑う姿は、とても楽しそうだ。そんな沖田に対して柚希が言った言葉は、
「ありがとう」
だった。
同時に向けられた柔らかな微笑みが、思わず沖田の目を見開かせる。柚希が伝えようとした事の意味を理解してしまった沖田は、バツが悪そうに刀を収めた。
――この女……ここには俺しか来られないよう隊士たちの足止めをしといたのも、こっそり工房を抜け出そうとしてやがったジジイを締めあげて話を聞いちまった事で、本気で敵対する気は無かったってのもお見通しだったって事ですかィ。
面白くねェ、と心底嫌そうな表情を見せた沖田は「あーあ、やってらんねーや」とボヤキながら、先ほどから放置したままのバズーカを拾い上げる。
「後は任せやしたぜ、土方さん。俺は隊士たちを連れて屯所に戻ってまさァ。ったく、とんだ茶番に付き合わされちまったぜィ」
と言ってバズーカを右の肩に乗せると、何故か「次こそは土方を仕留めてやる……」と呪いの言葉を吐きながらその場を立ち去ってしまった。