第一章 ~再会~(49P)
名前変換はこちら
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「じーさん! 柚希が……ッ」
「言われんでも、この状況を見ればゴリラでも分かるわい。とにかく先ずは扇子を奪え! 白夜叉のスイッチが入っちまった以上、正気に戻すにはあのピアスを外すしか無ェ。それには扇子が必要不可欠だ」
「何だよ、白夜叉のスイッチってのは」
「そのくらい察しろ! あのねーちゃんは白夜叉をおびき出し、あわよくば消させるため春雨に飼い殺されてたんじゃ」
「……ッ!」
源外の言葉が、銀時の胸に突き刺さる。
だが今は悲嘆に暮れている暇などなかった。瓦礫で遮断されていた向こう側から、鉛の玉が真っ直ぐに飛んできたのに気付いて咄嗟に叩き落とす。しかし間髪入れずに糸は手繰り寄せられ、高く飛んだ柚希の次の一振りが襲ってきた。
「やめろ、柚希!」
銀時が叫びながら応戦するも、柚希の表情は変わらない。優雅に、そして淡々と攻撃を仕掛けてくるのみ。
「万事屋! うだうだやってねェでさっさと扇子を奪っちまえ!」
「簡単に言ってくれるじゃねェか副長さんよォ。できるなら最初からやってるっつーの」
「無駄ですよ、土方さん。女に腑抜けた今の旦那には、扇子を奪うどころかあの女の髪の毛一本抜けやせん。俺に任せなせェ。すぐに仕留めてみせまさァ」
柚希の攻撃をかわす事しかできない銀時を眺めていた沖田は、バズーカを放り投げてにやりと不敵な笑みを浮かべると、ゆっくり刀を抜いた。
「旦那とあの女にどんな関係があるかは知りやせんが、こっちも仕事でね。さっさと型を付けさせてもらいやす」
銀時と土方を押しのけて前に立ち、平晴眼の構えで柚希と対峙する。柚希もまた、扇子を構えてそれに応じた。
「俺ァ旦那や土方さんのように、情に脆いタイプじゃねェんで。遠慮なく行かせてもらいやすぜ!」
「待て! 沖田!」
銀時の制止を聞かず、真っ直ぐ柚希に向かって駆け出した沖田の手から、目にも止まらぬ速さで繰り出される刀。次々と襲い来るそれらを軽やかに避けながら間合いを取ろうとする柚希だったが、容赦のない攻撃の為なかなか反撃のチャンスを見いだせない。時に扇子を振りかざすも、その動きの速さに獲物を捉える事は出来なくて。
表情は変わらぬままだったが劣勢だという判断は出来ているのか、柚希の頬を冷や汗が伝う頃にはもう、壁際に追い詰められていた。
ドンッと背中が壁にぶつかると同時に、胸元をかすめた一太刀が着物の一枚を裂く。懐から小さな白い何かが落ちた事に気付き、ハッとした表情を見せた柚希だったが、その隙を見逃す沖田ではない。
その直後、逃げ場を無くした柚希の目に映ったのは何故か、迫りくる沖田の刀ではなく、慌てて走り寄る銀時の白い髪だった。
「――シロ……」
ドスッ! という鈍い音が聞こえ、後を追うようにゆっくりと柚希の体から力が抜けていく。そのまま柚希は、目の前にいる沖田の腕の中へと倒れ込んだ。
見れば、沖田の刀は後ろの壁に突き刺さっている。ただその代わり、沖田の拳が柚希のみぞおちを捉えていた。
「柚希~~ッ!」
沖田を押しのけ、柚希の体を奪い取った銀時が必死に名を呼ぶ。
「柚希! しっかりしろ、柚希!」
「く……っ」
銀時に抱えられ、苦し気に顔をゆがめながらも柚希の意識はあるようだ。それが確認できたことで、銀時がホッとため息を吐いた時だった。
「言われんでも、この状況を見ればゴリラでも分かるわい。とにかく先ずは扇子を奪え! 白夜叉のスイッチが入っちまった以上、正気に戻すにはあのピアスを外すしか無ェ。それには扇子が必要不可欠だ」
「何だよ、白夜叉のスイッチってのは」
「そのくらい察しろ! あのねーちゃんは白夜叉をおびき出し、あわよくば消させるため春雨に飼い殺されてたんじゃ」
「……ッ!」
源外の言葉が、銀時の胸に突き刺さる。
だが今は悲嘆に暮れている暇などなかった。瓦礫で遮断されていた向こう側から、鉛の玉が真っ直ぐに飛んできたのに気付いて咄嗟に叩き落とす。しかし間髪入れずに糸は手繰り寄せられ、高く飛んだ柚希の次の一振りが襲ってきた。
「やめろ、柚希!」
銀時が叫びながら応戦するも、柚希の表情は変わらない。優雅に、そして淡々と攻撃を仕掛けてくるのみ。
「万事屋! うだうだやってねェでさっさと扇子を奪っちまえ!」
「簡単に言ってくれるじゃねェか副長さんよォ。できるなら最初からやってるっつーの」
「無駄ですよ、土方さん。女に腑抜けた今の旦那には、扇子を奪うどころかあの女の髪の毛一本抜けやせん。俺に任せなせェ。すぐに仕留めてみせまさァ」
柚希の攻撃をかわす事しかできない銀時を眺めていた沖田は、バズーカを放り投げてにやりと不敵な笑みを浮かべると、ゆっくり刀を抜いた。
「旦那とあの女にどんな関係があるかは知りやせんが、こっちも仕事でね。さっさと型を付けさせてもらいやす」
銀時と土方を押しのけて前に立ち、平晴眼の構えで柚希と対峙する。柚希もまた、扇子を構えてそれに応じた。
「俺ァ旦那や土方さんのように、情に脆いタイプじゃねェんで。遠慮なく行かせてもらいやすぜ!」
「待て! 沖田!」
銀時の制止を聞かず、真っ直ぐ柚希に向かって駆け出した沖田の手から、目にも止まらぬ速さで繰り出される刀。次々と襲い来るそれらを軽やかに避けながら間合いを取ろうとする柚希だったが、容赦のない攻撃の為なかなか反撃のチャンスを見いだせない。時に扇子を振りかざすも、その動きの速さに獲物を捉える事は出来なくて。
表情は変わらぬままだったが劣勢だという判断は出来ているのか、柚希の頬を冷や汗が伝う頃にはもう、壁際に追い詰められていた。
ドンッと背中が壁にぶつかると同時に、胸元をかすめた一太刀が着物の一枚を裂く。懐から小さな白い何かが落ちた事に気付き、ハッとした表情を見せた柚希だったが、その隙を見逃す沖田ではない。
その直後、逃げ場を無くした柚希の目に映ったのは何故か、迫りくる沖田の刀ではなく、慌てて走り寄る銀時の白い髪だった。
「――シロ……」
ドスッ! という鈍い音が聞こえ、後を追うようにゆっくりと柚希の体から力が抜けていく。そのまま柚希は、目の前にいる沖田の腕の中へと倒れ込んだ。
見れば、沖田の刀は後ろの壁に突き刺さっている。ただその代わり、沖田の拳が柚希のみぞおちを捉えていた。
「柚希~~ッ!」
沖田を押しのけ、柚希の体を奪い取った銀時が必死に名を呼ぶ。
「柚希! しっかりしろ、柚希!」
「く……っ」
銀時に抱えられ、苦し気に顔をゆがめながらも柚希の意識はあるようだ。それが確認できたことで、銀時がホッとため息を吐いた時だった。