第一章 ~再会~(49P)
名前変換はこちら
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「何で私、悲しんでるの? こんなに可愛い花を見てるのに……甘い香りが胸に突き刺さって……」
肩を震わせて涙を流す柚希があまりにも儚げに見えて。銀時は全身で守るようにギュッと強く柚希を抱きしめた。
その銀時も、何かを堪えているかのように苦しげな表情をしている。
「ねぇ、これも思い出せない過去が関係してるの? この花には何か秘密があるの?」
切なさと悲しみ、苦しみの中に混じって浮かぶ愛おしさ。この複雑な感情は、どんな言葉でも表すことが出来ない。
「記憶が戻れば、この感情を理解できるの……?」
ゆっくりと顔を上げた柚希は、涙に濡れた瞳で銀時を見つめる。揺れる赤い瞳で見つめ返した銀時は、指でそっと柚希の涙を拭ってやりながら言った。
「先生が……好きな花だったからな……」
「先生……?」
思い当たる人物がいない柚希の表情に変化は無い。だが何かを知っている銀時が、柚希の分まで悲しみを背負っている事だけは分かっていて。
「ごめんね、銀時……忘れてしまってて」
今はただ、謝ることしかできない。
「ごめんなさい……」
「泣くなよ、柚希。お前を泣かせるために連れてきたわけじゃねーんだぞ。お前もこの花が好きだった事を思い出したからよ」
「うん……ありがとう。ごめんね」
「何で謝んだよ。礼だけで良いだろうが」
「ごめん……」
「だから謝んなっての。俺が虐めてるみてーじゃねーか」
「ごめ……っ!」
何を言っても涙を流しながら謝り続ける柚希に、業を煮やした銀時がこれ以上謝らせまいと唇を塞ぐ。強引に重ねられた筈の唇は何故か優しくて、心地よさに柚希は自然と目を閉じた。
ーー初めて会った日にも感じてた……覚えていないのに、懐かしい……。
唇から伝わってくる温もりと感触が、心に沁み込んでくる。柚希が謝る事をやめたのを確認した銀時は、そのまま角度を変えながら何度も啄ばむように柚希の唇に触れていった。
やがてゆっくりと舌で柚希の唇を開かせ歯列をなぞれば、ビクリと柚希の体が小さく跳ねる。先程までとは違う意味で震え始めた柚希を気遣いながらも舌を潜り込ませていき、逃げる柚希の舌に絡めれば、「んっ……」と甘い吐息が漏れた。
「っん……ふ……」
舌の動きに合わせて全身を駆け巡る痺れは、誰よりもお互いを求めている証。事実二人の体には、もっと熱く、深くと願う欲が生まれていた。
しかし……。
「銀時……」
息をするのも忘れる程に深い口付けが、その先を目指す前に止めたのは柚希。頬を上気させ、瞳を潤ませてはいたが、その意志は固いようだった。
「ここまでさせて止めるなんて卑怯なのは分かってる。でも……今の私は貴方を受け入れられない」
荒い息を落ち着かせようと胸を押さえながら、柚希は言った。
肩を震わせて涙を流す柚希があまりにも儚げに見えて。銀時は全身で守るようにギュッと強く柚希を抱きしめた。
その銀時も、何かを堪えているかのように苦しげな表情をしている。
「ねぇ、これも思い出せない過去が関係してるの? この花には何か秘密があるの?」
切なさと悲しみ、苦しみの中に混じって浮かぶ愛おしさ。この複雑な感情は、どんな言葉でも表すことが出来ない。
「記憶が戻れば、この感情を理解できるの……?」
ゆっくりと顔を上げた柚希は、涙に濡れた瞳で銀時を見つめる。揺れる赤い瞳で見つめ返した銀時は、指でそっと柚希の涙を拭ってやりながら言った。
「先生が……好きな花だったからな……」
「先生……?」
思い当たる人物がいない柚希の表情に変化は無い。だが何かを知っている銀時が、柚希の分まで悲しみを背負っている事だけは分かっていて。
「ごめんね、銀時……忘れてしまってて」
今はただ、謝ることしかできない。
「ごめんなさい……」
「泣くなよ、柚希。お前を泣かせるために連れてきたわけじゃねーんだぞ。お前もこの花が好きだった事を思い出したからよ」
「うん……ありがとう。ごめんね」
「何で謝んだよ。礼だけで良いだろうが」
「ごめん……」
「だから謝んなっての。俺が虐めてるみてーじゃねーか」
「ごめ……っ!」
何を言っても涙を流しながら謝り続ける柚希に、業を煮やした銀時がこれ以上謝らせまいと唇を塞ぐ。強引に重ねられた筈の唇は何故か優しくて、心地よさに柚希は自然と目を閉じた。
ーー初めて会った日にも感じてた……覚えていないのに、懐かしい……。
唇から伝わってくる温もりと感触が、心に沁み込んでくる。柚希が謝る事をやめたのを確認した銀時は、そのまま角度を変えながら何度も啄ばむように柚希の唇に触れていった。
やがてゆっくりと舌で柚希の唇を開かせ歯列をなぞれば、ビクリと柚希の体が小さく跳ねる。先程までとは違う意味で震え始めた柚希を気遣いながらも舌を潜り込ませていき、逃げる柚希の舌に絡めれば、「んっ……」と甘い吐息が漏れた。
「っん……ふ……」
舌の動きに合わせて全身を駆け巡る痺れは、誰よりもお互いを求めている証。事実二人の体には、もっと熱く、深くと願う欲が生まれていた。
しかし……。
「銀時……」
息をするのも忘れる程に深い口付けが、その先を目指す前に止めたのは柚希。頬を上気させ、瞳を潤ませてはいたが、その意志は固いようだった。
「ここまでさせて止めるなんて卑怯なのは分かってる。でも……今の私は貴方を受け入れられない」
荒い息を落ち着かせようと胸を押さえながら、柚希は言った。