第一章 ~再会~(49P)
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「ん~~っ、気持ち良い!」
スクーターの後ろで叫んでいるのは、柚希。ようやく全ての傷が完治し、今日はその快気祝いを口実に少し遠出をしていた。
もちろん運転しているのは銀時である。
「ねぇねぇ、振動がもう全然痛くないよ。体をひねっても何ともないの。いやぁ、健康ってありがたいねぇ」
「な~にババくせェ事言ってんだよ。んな事より、ちゃんと掴まってろよ。落っこちてまた怪我しました~、なんて事になったらシャレになんねーぞ」
「分かってるよ。ほら、ちゃんと掴まってるし」
柚希がギュッと強く銀時に抱き着けば、何故か銀時が「お、おう……」と口ごもる。
「あれ? これじゃダメなの? んじゃもっと……」
更に密着度を高めるように強く抱き着かれた銀時は、焦るばかりだ。
「いや、そこまでしなくて良いからね? あんまり押し付けられちゃうと、銀さんの銀さんがスパーキングしちゃうからねッ」
「はぁ? 銀さんの銀さんって何? 実は双子だったりするの?」
「双子っつーより息子? みたいな」
「銀時って子供がいたの?」
「……いやもう良いです。とりあえず落ちないようにだけは気を付けてくれ……」
「はーい」と素直に答える柚希に、銀時は大きなため息を吐いた。
――記憶が無いせいか何だかしんねーけど、良い大人なんだから察してくれよなー。っつーか柚希の奴、昔より絶対美味しく成長してるんだけど。これって何かの試練? 何気に銀さん試されちゃってる?
背中越しに触れる感触に悶々とする銀時がミラー越しに柚希を見れば、無邪気な笑顔で流れる景色を楽しんでいる姿が映っている。それは銀時の中にある大切な思い出を呼び起こすもので、銀時は我知らず唇を噛み締めていた。
やがてどこかの駐輪スペースに辿り着くとスクーターを降り、銀時が率先して遊歩道を歩いていく。
「ねぇ、気分転換に良い所へ連れてってやるって言ってたけど、ここは何処なの?」
どうやら柚希は目的地を伝えられずに連れて来られていたらしい。追いついて隣を歩く銀時を見上げながら尋ねる柚希に「行ってみりゃ分かるって」と答え、銀時は先へと歩いていく。柚希もそれ以上は何も聞かず、銀時に着いていった。
「ここだ」
「うわぁ……」
銀時が足を止めて指差した先を見ると、そこは一面の花畑だった。
「すごーい、こんな場所があるんだねぇ」
白く小さな花がまるで絨毯のように広がる光景は、これ以上ないほどに壮観で。
目を輝かせて駆け寄った柚希は花の手前にしゃがみ込むと、そっと手を伸ばした。
「可愛い花……」
花弁に優しく触れると、柚希の笑みが深くなる。ふわりと柔らかな風に乗って届く甘い香りに酔いしれながら、柚希はしばらく花々を眺めていた。
そんな柚希を少し離れた所から優しい眼差しで見つめていた銀時だったが、ふと何かに気付いたようにゆっくりと柚希に歩み寄る。言葉はかけず横に並んで座り、優しく柚希の肩を抱き寄せると、何の抵抗もなく柚希の体は銀時の腕の中へと吸い込まれた。
「何でだろう……」
銀時がようやく聞き取れる程の小さな声で、柚希がつぶやく。と同時に柚希の眦からポロリと一粒の涙が零れ落ちた。
スクーターの後ろで叫んでいるのは、柚希。ようやく全ての傷が完治し、今日はその快気祝いを口実に少し遠出をしていた。
もちろん運転しているのは銀時である。
「ねぇねぇ、振動がもう全然痛くないよ。体をひねっても何ともないの。いやぁ、健康ってありがたいねぇ」
「な~にババくせェ事言ってんだよ。んな事より、ちゃんと掴まってろよ。落っこちてまた怪我しました~、なんて事になったらシャレになんねーぞ」
「分かってるよ。ほら、ちゃんと掴まってるし」
柚希がギュッと強く銀時に抱き着けば、何故か銀時が「お、おう……」と口ごもる。
「あれ? これじゃダメなの? んじゃもっと……」
更に密着度を高めるように強く抱き着かれた銀時は、焦るばかりだ。
「いや、そこまでしなくて良いからね? あんまり押し付けられちゃうと、銀さんの銀さんがスパーキングしちゃうからねッ」
「はぁ? 銀さんの銀さんって何? 実は双子だったりするの?」
「双子っつーより息子? みたいな」
「銀時って子供がいたの?」
「……いやもう良いです。とりあえず落ちないようにだけは気を付けてくれ……」
「はーい」と素直に答える柚希に、銀時は大きなため息を吐いた。
――記憶が無いせいか何だかしんねーけど、良い大人なんだから察してくれよなー。っつーか柚希の奴、昔より絶対美味しく成長してるんだけど。これって何かの試練? 何気に銀さん試されちゃってる?
背中越しに触れる感触に悶々とする銀時がミラー越しに柚希を見れば、無邪気な笑顔で流れる景色を楽しんでいる姿が映っている。それは銀時の中にある大切な思い出を呼び起こすもので、銀時は我知らず唇を噛み締めていた。
やがてどこかの駐輪スペースに辿り着くとスクーターを降り、銀時が率先して遊歩道を歩いていく。
「ねぇ、気分転換に良い所へ連れてってやるって言ってたけど、ここは何処なの?」
どうやら柚希は目的地を伝えられずに連れて来られていたらしい。追いついて隣を歩く銀時を見上げながら尋ねる柚希に「行ってみりゃ分かるって」と答え、銀時は先へと歩いていく。柚希もそれ以上は何も聞かず、銀時に着いていった。
「ここだ」
「うわぁ……」
銀時が足を止めて指差した先を見ると、そこは一面の花畑だった。
「すごーい、こんな場所があるんだねぇ」
白く小さな花がまるで絨毯のように広がる光景は、これ以上ないほどに壮観で。
目を輝かせて駆け寄った柚希は花の手前にしゃがみ込むと、そっと手を伸ばした。
「可愛い花……」
花弁に優しく触れると、柚希の笑みが深くなる。ふわりと柔らかな風に乗って届く甘い香りに酔いしれながら、柚希はしばらく花々を眺めていた。
そんな柚希を少し離れた所から優しい眼差しで見つめていた銀時だったが、ふと何かに気付いたようにゆっくりと柚希に歩み寄る。言葉はかけず横に並んで座り、優しく柚希の肩を抱き寄せると、何の抵抗もなく柚希の体は銀時の腕の中へと吸い込まれた。
「何でだろう……」
銀時がようやく聞き取れる程の小さな声で、柚希がつぶやく。と同時に柚希の眦からポロリと一粒の涙が零れ落ちた。