第一章 ~再会~(49P)
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銀時の言い訳を聞き終え、神楽が柚希とのおしゃべりに興じ始めた頃。その様子を微笑ましく見ながら、新八は改めて銀時に確認していた。
「要するに、柚希さんは銀さんとは旧知の仲ですが、記憶を無くしていて銀さんの事は忘れている、と。しかも春雨の施設から脱走した事で、天人に追われてるんですね」
「そーそー。だからしばらくここで匿うわ」
死んだ魚のような目が復活し、定番の鼻ホジスタイルで言う銀時に、新八は呆れた表情を見せる。軽く自己紹介をし、ここに来るまでの経緯を聞いたことで大まかな話は分かったが、銀時の提案を新八は素直に受け入れる気にはなれなかった。
「ちょっと待って下さいよ、銀さん。柚希さんを匿うなら、僕の家の方が良いと思います。うちなら姉上がいますし、怪我の具合がよくなるまでは誰かが側にいた方が良いでしょう?」
「あぁん? 別に側にいるのはお妙じゃなくても良いだろうが」
「いえ、姉上が良いと思います。そもそも銀さんと柚希さんは旧知の仲とは言え、柚希さんは銀さんを覚えていないんでしょう? それが間違いないのなら、銀さんは知らない男と変わりません。一つ屋根の下で見ず知らずの男と一緒なんて、女の人にとっては……」
新八がそこまで言った時だった。
ゾクリと冷たいものを背中に感じ、言葉を失う。すぐにその感覚は消えたが、新八がほんの一瞬目にしたのは、燃えるように熱く鋭い瞳の赤だった。
目を瞬かせてもう一度銀時を見たが、そこには相変わらずの生気を感じられない瞳がある。
――今のは錯覚……?
自分の中にある恐怖を吹き飛ばそうと、頭を強く横に振った新八だったが、もうそれ以上は何も言おうとはしなかった。
代わりに、消え入りそうな程に小さな声が耳に届く。
「あいつだけは手放したくねぇんだよ。もう片時も離れるわけには……」
――銀さんにとって、柚希さんはそんなにも大切な存在なんですか?
そう聞きたかったが、今の銀時はきっと何も答えてはくれないだろう。
ツキリと小さな痛みを胸に感じながらも、わざとらしく大きなため息を吐いて見せた新八は言った。
「でもまぁ確かにうちだったら、怪我の看病はできても食事がダークマターですからね。別の症状が加わってもいけませんから……分かりました。銀さんが清く正しく看病してあげてください。昼間は僕も手伝いますからね」
その言葉に、銀時が小さく口の端を上げて答える。
「……ワリィな」
「何言ってんですか、銀さんらしくない。言ったからには責任もって、しっかり看病してあげてくださいよ。神楽ちゃんがいるから大丈夫だとは思いますけど、隠れて爛れた関係に持っていくのは厳禁ですからね!」
「馬鹿言うなよ。俺ほどの紳士がそんなことするはずねーだろうが。行動する時は、正々堂々と正面からヤる!」
「どこが紳士だ~~ッ!」
ボケと突っ込みが健在なのを確認し、時間も時間だからと万事屋を後にする。
帰る道すがら、新八はこの数時間に起こった出来事と銀時の行動を思い返していた。
「いつだって銀さんは仲間の為に必死になるけど、今回は何かが違う気がする……」
理由は分からないが、暗い夜道を一人で歩きながら、もやつく感情に戸惑う新八だった。
「要するに、柚希さんは銀さんとは旧知の仲ですが、記憶を無くしていて銀さんの事は忘れている、と。しかも春雨の施設から脱走した事で、天人に追われてるんですね」
「そーそー。だからしばらくここで匿うわ」
死んだ魚のような目が復活し、定番の鼻ホジスタイルで言う銀時に、新八は呆れた表情を見せる。軽く自己紹介をし、ここに来るまでの経緯を聞いたことで大まかな話は分かったが、銀時の提案を新八は素直に受け入れる気にはなれなかった。
「ちょっと待って下さいよ、銀さん。柚希さんを匿うなら、僕の家の方が良いと思います。うちなら姉上がいますし、怪我の具合がよくなるまでは誰かが側にいた方が良いでしょう?」
「あぁん? 別に側にいるのはお妙じゃなくても良いだろうが」
「いえ、姉上が良いと思います。そもそも銀さんと柚希さんは旧知の仲とは言え、柚希さんは銀さんを覚えていないんでしょう? それが間違いないのなら、銀さんは知らない男と変わりません。一つ屋根の下で見ず知らずの男と一緒なんて、女の人にとっては……」
新八がそこまで言った時だった。
ゾクリと冷たいものを背中に感じ、言葉を失う。すぐにその感覚は消えたが、新八がほんの一瞬目にしたのは、燃えるように熱く鋭い瞳の赤だった。
目を瞬かせてもう一度銀時を見たが、そこには相変わらずの生気を感じられない瞳がある。
――今のは錯覚……?
自分の中にある恐怖を吹き飛ばそうと、頭を強く横に振った新八だったが、もうそれ以上は何も言おうとはしなかった。
代わりに、消え入りそうな程に小さな声が耳に届く。
「あいつだけは手放したくねぇんだよ。もう片時も離れるわけには……」
――銀さんにとって、柚希さんはそんなにも大切な存在なんですか?
そう聞きたかったが、今の銀時はきっと何も答えてはくれないだろう。
ツキリと小さな痛みを胸に感じながらも、わざとらしく大きなため息を吐いて見せた新八は言った。
「でもまぁ確かにうちだったら、怪我の看病はできても食事がダークマターですからね。別の症状が加わってもいけませんから……分かりました。銀さんが清く正しく看病してあげてください。昼間は僕も手伝いますからね」
その言葉に、銀時が小さく口の端を上げて答える。
「……ワリィな」
「何言ってんですか、銀さんらしくない。言ったからには責任もって、しっかり看病してあげてくださいよ。神楽ちゃんがいるから大丈夫だとは思いますけど、隠れて爛れた関係に持っていくのは厳禁ですからね!」
「馬鹿言うなよ。俺ほどの紳士がそんなことするはずねーだろうが。行動する時は、正々堂々と正面からヤる!」
「どこが紳士だ~~ッ!」
ボケと突っ込みが健在なのを確認し、時間も時間だからと万事屋を後にする。
帰る道すがら、新八はこの数時間に起こった出来事と銀時の行動を思い返していた。
「いつだって銀さんは仲間の為に必死になるけど、今回は何かが違う気がする……」
理由は分からないが、暗い夜道を一人で歩きながら、もやつく感情に戸惑う新八だった。