第一章 ~再会~(49P)
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――この男は何故こんな表情を見せるのだろう。どうして私を見る眼差しは、温かいのだろう。
自身の中の警戒心が解け始めている事に気付き、戸惑いは増すばかり。この男の本意が分からぬ以上、気を抜いてはいけないはずなのに。
「あんたにとって、その姫とやらはどんな存在なの?」
そんな事を聞いてどうするのかと思いながらも、聞きたくなった。
「あー、それ聞いちゃう? でもまぁ仕方ないか。忘れさせられてたわけだしな」
「忘れ『させられてた』?」
予想もしていなかった答えに思わず身を乗り出す。
「それってどう言う事なの?」
治療の際に使われたであろう麻酔のお陰で忘れていた痛みがぶり返すのも気にせず、柚希は銀時に掴みかかった。
「ねぇ、教えてよ! あんたが知ってる事全て!」
「その食い付き方は、自分でも違和感があったって事か」
銀時が眉をひそめながら言うと、ハッとしたように柚希の体が固まる。その姿に小さくため息をついた銀時は、柚希の体をそっと抱きしめた。
「まずは落ち着け。俺はお前の味方だから。俺の知ってる事は全部話してやるし、出来る事なら何でもしてやる。だからお前も俺を信じてくれ、柚希」
大丈夫だから、と柚希の髪に口付けながら言う銀時の温もりが、とても心地良くて。頭ではダメだと思いながらも、もうずっと張り詰め続けていた緊張の糸が緩む。
「何で……私なんかに優しくしたって何も良い事無いのに……」
「待ってたからに決まってんだろ。ずっとお前が帰るのを待ってたんだぜ」
囁くように言われ、柚希の心が小さく跳ねた。それを皮切りに鼓動が速くなっていく。
「私……私は……っ」
銀時の胸を押し返して体を離せば、ぶつかる視線。熱を帯びた瞳は真っ直ぐに柚希を捉えて離さない。
「お帰り、柚希」
「――っ」
重ねられた唇が、燃えるように熱い。
啄ばむように何度も触れ、次第に深くなる口付けは、紛う方なき銀時の心を伝えてきた。
どれだけ逃げても絡め取られてしまう舌が蕩け、銀時の髪と同じ銀色の糸が2人を繋ぐ頃には、柚希の息も上がっていて。
「あ……」
驚きと羞恥とで混乱し、言葉が出てこない。
だが自らの心の奥底に秘められた物の片鱗を感じた気がして胸が痛み、一筋の涙が頬を伝ったのだった。
自身の中の警戒心が解け始めている事に気付き、戸惑いは増すばかり。この男の本意が分からぬ以上、気を抜いてはいけないはずなのに。
「あんたにとって、その姫とやらはどんな存在なの?」
そんな事を聞いてどうするのかと思いながらも、聞きたくなった。
「あー、それ聞いちゃう? でもまぁ仕方ないか。忘れさせられてたわけだしな」
「忘れ『させられてた』?」
予想もしていなかった答えに思わず身を乗り出す。
「それってどう言う事なの?」
治療の際に使われたであろう麻酔のお陰で忘れていた痛みがぶり返すのも気にせず、柚希は銀時に掴みかかった。
「ねぇ、教えてよ! あんたが知ってる事全て!」
「その食い付き方は、自分でも違和感があったって事か」
銀時が眉をひそめながら言うと、ハッとしたように柚希の体が固まる。その姿に小さくため息をついた銀時は、柚希の体をそっと抱きしめた。
「まずは落ち着け。俺はお前の味方だから。俺の知ってる事は全部話してやるし、出来る事なら何でもしてやる。だからお前も俺を信じてくれ、柚希」
大丈夫だから、と柚希の髪に口付けながら言う銀時の温もりが、とても心地良くて。頭ではダメだと思いながらも、もうずっと張り詰め続けていた緊張の糸が緩む。
「何で……私なんかに優しくしたって何も良い事無いのに……」
「待ってたからに決まってんだろ。ずっとお前が帰るのを待ってたんだぜ」
囁くように言われ、柚希の心が小さく跳ねた。それを皮切りに鼓動が速くなっていく。
「私……私は……っ」
銀時の胸を押し返して体を離せば、ぶつかる視線。熱を帯びた瞳は真っ直ぐに柚希を捉えて離さない。
「お帰り、柚希」
「――っ」
重ねられた唇が、燃えるように熱い。
啄ばむように何度も触れ、次第に深くなる口付けは、紛う方なき銀時の心を伝えてきた。
どれだけ逃げても絡め取られてしまう舌が蕩け、銀時の髪と同じ銀色の糸が2人を繋ぐ頃には、柚希の息も上がっていて。
「あ……」
驚きと羞恥とで混乱し、言葉が出てこない。
だが自らの心の奥底に秘められた物の片鱗を感じた気がして胸が痛み、一筋の涙が頬を伝ったのだった。