第二章 ~松陽~(83P)
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「……分かった。柚希捕まえてくる」
イマイチ理解は出来ていないが、とりあえず柚希を捕まえればいいのだという事だけは分かったらしく、銀時は立ち上がると早速柚希の元へと走って行く。
最初は「ずる~い! シロを味方につけたな~!」と叫びながら逃げる柚希を、銀時が真剣な顔で容赦なく追いかけていたが、次第に柚希は笑顔になり、銀時も頬を緩ませながら走り回るようになっていった。
やがて何度目かの鬼の交代の頃には二人ともフラフラになっていて。
「親父様……もう無理……」
「鬼ごっこ、疲れる……」
と松陽の前で倒れ込んでしまった。
「さすがに二人だけの鬼ごっこはきついよ……お互い休み無しだもん。親父様も一緒に遊んでくれるならともかくさ~」
「私が入ったら一瞬で終了しちゃうじゃないですか」
「大人げないなぁ。そこは空気を読んで子供たちを楽しませる努力をしようよ」
「勝負に手は抜きません」
強い意志を見せつけられ、それ以上何も言えなくなる。やれやれと肩を竦めた柚希は、大きなため息を吐きながら言った。
「親父様ってそういうトコ頑固だよねー。あーあ、もっと友達がたくさんいたら楽しいんだろうなぁ」
それは、単なる思い付きの言葉。人数が増えればもっと遊び方も変わるだろうと思い、何となく口にした物だったが、何故か聞いていた松陽は黙り込んでしまった。
「親父様?」
「友達……ですか……」
何かを考え込み始めた松陽に薄ら寒い物を感じた柚希は、慌てて自分の言葉を撤回しようとする。
「さっきのは言葉のアヤって奴だからね? シロも来てくれたし十分賑やかになってるから、気にしなくて良いからね?」
そう言ってみても松陽の耳には入らないのか「友達……」と呟きながら考え込んだまま。
「ねぇ、シロも何か言ってよ。このままだと親父様、何やらかすか分かったもんじゃないから」
「友達って何?」
「え……」
松陽が暴走する前に止めようとしていたはずが、それ以前の問題がここにあった事に気付く。どう説明すれば銀時に分かりやすいか、頭を悩ませながら柚希は答えた。
「友達っていうのは……一緒に遊んだり勉強したり、時には喧嘩をしながらもお互いを思いやれる相手、かなぁ」
「喧嘩したら殺す?」
「そんな事はしないよ。喧嘩したら後で仲直りするの。また仲良くなれるんだよ」
「……言ってる事、分からない」
「伝わらなかったかぁ」とがっくり肩を落とす。だがこればかりは経験しないと分からないものだろうと開き直った柚希は、「友達は自然にできるものだから、一緒に少しずつ見つけていこう」と言ってニコリと笑ってみせたのだった。
イマイチ理解は出来ていないが、とりあえず柚希を捕まえればいいのだという事だけは分かったらしく、銀時は立ち上がると早速柚希の元へと走って行く。
最初は「ずる~い! シロを味方につけたな~!」と叫びながら逃げる柚希を、銀時が真剣な顔で容赦なく追いかけていたが、次第に柚希は笑顔になり、銀時も頬を緩ませながら走り回るようになっていった。
やがて何度目かの鬼の交代の頃には二人ともフラフラになっていて。
「親父様……もう無理……」
「鬼ごっこ、疲れる……」
と松陽の前で倒れ込んでしまった。
「さすがに二人だけの鬼ごっこはきついよ……お互い休み無しだもん。親父様も一緒に遊んでくれるならともかくさ~」
「私が入ったら一瞬で終了しちゃうじゃないですか」
「大人げないなぁ。そこは空気を読んで子供たちを楽しませる努力をしようよ」
「勝負に手は抜きません」
強い意志を見せつけられ、それ以上何も言えなくなる。やれやれと肩を竦めた柚希は、大きなため息を吐きながら言った。
「親父様ってそういうトコ頑固だよねー。あーあ、もっと友達がたくさんいたら楽しいんだろうなぁ」
それは、単なる思い付きの言葉。人数が増えればもっと遊び方も変わるだろうと思い、何となく口にした物だったが、何故か聞いていた松陽は黙り込んでしまった。
「親父様?」
「友達……ですか……」
何かを考え込み始めた松陽に薄ら寒い物を感じた柚希は、慌てて自分の言葉を撤回しようとする。
「さっきのは言葉のアヤって奴だからね? シロも来てくれたし十分賑やかになってるから、気にしなくて良いからね?」
そう言ってみても松陽の耳には入らないのか「友達……」と呟きながら考え込んだまま。
「ねぇ、シロも何か言ってよ。このままだと親父様、何やらかすか分かったもんじゃないから」
「友達って何?」
「え……」
松陽が暴走する前に止めようとしていたはずが、それ以前の問題がここにあった事に気付く。どう説明すれば銀時に分かりやすいか、頭を悩ませながら柚希は答えた。
「友達っていうのは……一緒に遊んだり勉強したり、時には喧嘩をしながらもお互いを思いやれる相手、かなぁ」
「喧嘩したら殺す?」
「そんな事はしないよ。喧嘩したら後で仲直りするの。また仲良くなれるんだよ」
「……言ってる事、分からない」
「伝わらなかったかぁ」とがっくり肩を落とす。だがこればかりは経験しないと分からないものだろうと開き直った柚希は、「友達は自然にできるものだから、一緒に少しずつ見つけていこう」と言ってニコリと笑ってみせたのだった。