第二章 ~松陽~(83P)
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翌朝、松陽は早速銀時に稽古をつける事にした。
まずは目の前で柚希と竹刀による試合をすれば、不思議そうに見ている銀時。
「貴方もやってみたくなりませんか?」
本気で攻撃を仕掛けてきている柚希を何度も軽くあしらいながら、松陽は笑顔で言う。
「んもーっ! たまには負けてよね、親父様!」
「嫌です」
「即答!?」
パァン! と竹刀のぶつかる音と共に吹っ飛ぶ柚希。そのまま銀時の横を転がったが、すぐに立ち上がって松陽の元へと走り出す。
「これならどうだっ!」
「甘いですね」
あっさりとかわされ叩き落された竹刀は、柚希から遠ざかっていく。
「あーあ、今日も惨敗」
さすがに息が上がったのか、ぺたりと床に座り込んだ柚希は残念そうに言ったが、その顔は笑顔だった。
「少しは上達してると思ったんだけどなぁ」
「それは間違いありませんよ。でも未だ直線的な攻撃が多すぎるので読みやすいんです。そろそろ頭を使ってみましょうか」
「……割とひどい事を言われてる気がしないでもない……」
ぷうっと頬を膨らませた柚希が松陽を睨む。クスクスと笑いながら柚希の怒りを受け流した松陽がふと視線を流すと、銀時の目が輝いていることに気付いた。
ーー竹刀とは言え、剣術で人を殺すのではなく楽しむ姿を見るのは初めてでしょう。この反応は良い傾向ですね。
「さぁ、銀時もやってみましょう」
自らの持つ竹刀を差し出し、銀時に手招きをする。竹刀と松陽を数回見比べた銀時は、それを受け取ると何故か柚希を見た。
「おや、柚希と試合をしたいんですか?」
意外そうに言う松陽だったが、その口元に浮かんでいるのは含みのある笑みだ。既に銀時が柚希の戦いぶりを気にかけていた事を読んでいたのだろう。
「柚希はどうですか? 続けていけます?」
「もちろん!」
大きく深呼吸して立ち上がった柚希は、竹刀を拾い上げて銀時の前に立ち、構える。
「いつでも良いよ。かかっておいで、シロ!」
笑顔で言われ、コクリと頷いた銀時は次の瞬間、柚希に向かって駆け出していた。
鋭い突きが柚希の喉元を狙う。柚希が軽やかに避けながら銀時の竹刀を叩き落そうとすると、何の予備動作も無く軌道が変えられた竹刀が横薙ぎに払われた。咄嗟に体を捻って躱した柚希は、絶妙なバランスで体を保ちつつ竹刀を振る。綺麗に銀時の竹刀を捉えて跳ね上げると、衝撃で銀時の手が開いた。
「そこまで!」
松陽の声に二人の動きが止まる。弾き飛ばされた竹刀が派手な音を立てて地面に落ちると、柚希はホッと息を吐いた。
まずは目の前で柚希と竹刀による試合をすれば、不思議そうに見ている銀時。
「貴方もやってみたくなりませんか?」
本気で攻撃を仕掛けてきている柚希を何度も軽くあしらいながら、松陽は笑顔で言う。
「んもーっ! たまには負けてよね、親父様!」
「嫌です」
「即答!?」
パァン! と竹刀のぶつかる音と共に吹っ飛ぶ柚希。そのまま銀時の横を転がったが、すぐに立ち上がって松陽の元へと走り出す。
「これならどうだっ!」
「甘いですね」
あっさりとかわされ叩き落された竹刀は、柚希から遠ざかっていく。
「あーあ、今日も惨敗」
さすがに息が上がったのか、ぺたりと床に座り込んだ柚希は残念そうに言ったが、その顔は笑顔だった。
「少しは上達してると思ったんだけどなぁ」
「それは間違いありませんよ。でも未だ直線的な攻撃が多すぎるので読みやすいんです。そろそろ頭を使ってみましょうか」
「……割とひどい事を言われてる気がしないでもない……」
ぷうっと頬を膨らませた柚希が松陽を睨む。クスクスと笑いながら柚希の怒りを受け流した松陽がふと視線を流すと、銀時の目が輝いていることに気付いた。
ーー竹刀とは言え、剣術で人を殺すのではなく楽しむ姿を見るのは初めてでしょう。この反応は良い傾向ですね。
「さぁ、銀時もやってみましょう」
自らの持つ竹刀を差し出し、銀時に手招きをする。竹刀と松陽を数回見比べた銀時は、それを受け取ると何故か柚希を見た。
「おや、柚希と試合をしたいんですか?」
意外そうに言う松陽だったが、その口元に浮かんでいるのは含みのある笑みだ。既に銀時が柚希の戦いぶりを気にかけていた事を読んでいたのだろう。
「柚希はどうですか? 続けていけます?」
「もちろん!」
大きく深呼吸して立ち上がった柚希は、竹刀を拾い上げて銀時の前に立ち、構える。
「いつでも良いよ。かかっておいで、シロ!」
笑顔で言われ、コクリと頷いた銀時は次の瞬間、柚希に向かって駆け出していた。
鋭い突きが柚希の喉元を狙う。柚希が軽やかに避けながら銀時の竹刀を叩き落そうとすると、何の予備動作も無く軌道が変えられた竹刀が横薙ぎに払われた。咄嗟に体を捻って躱した柚希は、絶妙なバランスで体を保ちつつ竹刀を振る。綺麗に銀時の竹刀を捉えて跳ね上げると、衝撃で銀時の手が開いた。
「そこまで!」
松陽の声に二人の動きが止まる。弾き飛ばされた竹刀が派手な音を立てて地面に落ちると、柚希はホッと息を吐いた。