第二章 ~松陽~(83P)
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「や~い、怒られた~!……って言いたいとこだけど親父様のゲンコツって痛いし、色々と現実離れしてるんだよね。ちょっぴり同情」
そう言いながらも、急いで残りのプリンをかき込む柚希の姿に松陽が笑う。
「柚希も強くなりましたねぇ。色々な意味で」
「親父様と一緒にいれば、誰だって強くなるわよ。色々な意味で」
「う~ん、深いですねぇ」
「深いんじゃなくて、親父様がおかしいの!」
イーッと憎たらしい表情を見せた柚希は、めり込んで動けない銀時の側にしゃがみ込む。
「人の物を奪おうとしない。約束できる?」
涙目のままムッツリとしている銀時の頭をワシワシと撫で、「ん?」と伺うように覗き込んでくる柚希。さすがに嫌そうな顔を見せた銀時だったが、諦めたのか仕方なさそうにコクリと頷いた。
「そんじゃ、助けてあげますか」
銀時の答えを聞き尤もらしくウンウンと頷いた柚希は、銀時の脇の下に手を差し込み、銀時を引き上げる。
「これに懲りて、悪さをしないようにね」
クスクスと笑いながら言った柚希は、ポケットに手を入れると一粒の飴玉を取り出した。
「プリンも美味しいけど、他にも甘くて美味しいものは一杯あるからね。これから色々教えてあげる」
包みを開けて銀時の口に放り込むと、目を丸くして驚いた顔を見せる銀時。それがよほど嬉しかったのか柚希は、銀時の口の中から飴が無くなるまで「美味しい? 美味しいよね?」としつこく聞き続けていた。
床を作って川の字になるとあっという間に柚希と銀時は眠りに落ちた。体を小さく丸めて寝ている銀時を守るように柚希が寄り添って寝ている姿は、まるで本当の姉と弟のようで。そんな二人の寝姿を、松陽は目を細めて見つめていた。
「あれだけ大騒ぎすればぐっすりですよねぇ。今夜はゆっくり眠って下さい。明日からは銀時にも、刀の使い方を初めとして色々な事を教えてあげましょう」
静かに手を伸ばし、柚希の髪を優しく撫でる。次に銀時の髪も撫でようとすると、触れる寸前にカッと目が見開かれた。紅い瞳は殺意を宿していたが、松陽の姿を確認すると戸惑いの表情を浮かべる。
「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。ここには貴方に危害を与える者はいません。御覧なさい、柚希の寝顔を」
松陽に言われて柚希を見れば、幸せそうな笑みを浮かべて熟睡していた。銀時がそっと柚希の頬に触れるとその手を掴み、「豚足……」と言われビクリと手を引く。
「食われる!?」
「あはは。大丈夫ですよ。……多分」
声を殺してクスクスと笑う松陽に安心したのか、小さくあくびをした銀時は再び目を瞑った。松陽の手が髪に触れると、最後まで緊張を残していた口元も緩む。
「おやすみなさい、銀時」
先ほどよりもほんの少し柚希に引っ付いて眠る銀時に微笑みかけた松陽は、二人を守るように寄り添いながら自らも床に就くのだった。
そう言いながらも、急いで残りのプリンをかき込む柚希の姿に松陽が笑う。
「柚希も強くなりましたねぇ。色々な意味で」
「親父様と一緒にいれば、誰だって強くなるわよ。色々な意味で」
「う~ん、深いですねぇ」
「深いんじゃなくて、親父様がおかしいの!」
イーッと憎たらしい表情を見せた柚希は、めり込んで動けない銀時の側にしゃがみ込む。
「人の物を奪おうとしない。約束できる?」
涙目のままムッツリとしている銀時の頭をワシワシと撫で、「ん?」と伺うように覗き込んでくる柚希。さすがに嫌そうな顔を見せた銀時だったが、諦めたのか仕方なさそうにコクリと頷いた。
「そんじゃ、助けてあげますか」
銀時の答えを聞き尤もらしくウンウンと頷いた柚希は、銀時の脇の下に手を差し込み、銀時を引き上げる。
「これに懲りて、悪さをしないようにね」
クスクスと笑いながら言った柚希は、ポケットに手を入れると一粒の飴玉を取り出した。
「プリンも美味しいけど、他にも甘くて美味しいものは一杯あるからね。これから色々教えてあげる」
包みを開けて銀時の口に放り込むと、目を丸くして驚いた顔を見せる銀時。それがよほど嬉しかったのか柚希は、銀時の口の中から飴が無くなるまで「美味しい? 美味しいよね?」としつこく聞き続けていた。
床を作って川の字になるとあっという間に柚希と銀時は眠りに落ちた。体を小さく丸めて寝ている銀時を守るように柚希が寄り添って寝ている姿は、まるで本当の姉と弟のようで。そんな二人の寝姿を、松陽は目を細めて見つめていた。
「あれだけ大騒ぎすればぐっすりですよねぇ。今夜はゆっくり眠って下さい。明日からは銀時にも、刀の使い方を初めとして色々な事を教えてあげましょう」
静かに手を伸ばし、柚希の髪を優しく撫でる。次に銀時の髪も撫でようとすると、触れる寸前にカッと目が見開かれた。紅い瞳は殺意を宿していたが、松陽の姿を確認すると戸惑いの表情を浮かべる。
「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。ここには貴方に危害を与える者はいません。御覧なさい、柚希の寝顔を」
松陽に言われて柚希を見れば、幸せそうな笑みを浮かべて熟睡していた。銀時がそっと柚希の頬に触れるとその手を掴み、「豚足……」と言われビクリと手を引く。
「食われる!?」
「あはは。大丈夫ですよ。……多分」
声を殺してクスクスと笑う松陽に安心したのか、小さくあくびをした銀時は再び目を瞑った。松陽の手が髪に触れると、最後まで緊張を残していた口元も緩む。
「おやすみなさい、銀時」
先ほどよりもほんの少し柚希に引っ付いて眠る銀時に微笑みかけた松陽は、二人を守るように寄り添いながら自らも床に就くのだった。