第二章 ~松陽~(83P)
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「戻りましたよ……って、これはまた随分仲良しさんになったんですねぇ」
「親父様! お帰りなさいと言いたいとこだけど、途中まで私たちの事見てたでしょ?」
「あれま、バレてましたか。さすがですね」
ぷぅっと頬を膨らませている柚希の頭をポンポンと優しく叩いた松陽は、「はい、買ってきましたよ」と言って近くの町で調達してきた食料を渡す。少し急いで帰って来たのか、額には玉のような汗が浮かんでいた。
「この子が刀を抜いた時、親父様の気配を一瞬感じたの。特訓の成果、出てたでしょ?」
袋を受け取りながら得意げに言う柚希の目はキラキラと輝き、満面の笑みを見せている。
「そうですね。私の教え方が良かった事が証明されました」
「そこは普通娘を褒めるとこじゃないの?」
「あはは、分かってます。だからちゃんと頑張ったご褒美を買って来たんですよ」
「ご褒美……?」
松陽の視線が、先ほど渡された食料の袋に向けられている事に気付く柚希。中を見るとそこには……。
「わぁ、プリンだぁ!」
思わず叫んだ柚希に、少年がビクリと目を見開いて驚く。そんな事などお構いなしに、柚希は取り出したプリンを少年に見せた。
「これすっごく美味しいの。ちょっとお高い奴だから、特別な時にしか買ってもらえないんだよ。3つあるし、シロも一緒に食べようね」
「シロ?」
全身で喜びを表現している柚希が呼んだ聞き覚えの無い名前に、松陽が首をかしげる。
「シロとは一体?」
「この子の名前だよ。聞いても教えてくれないから私が付けたの。白い髪だからシロちゃん。ピッタリでしょ?」
「へぇ……それは良かったですね、銀時。名前を付けてもらえるというのは凄く幸せな事ですよ」
「……銀時?」
今度は柚希が首をかしげる番だった。ピタリと動きを止め、松陽と少年を交互に見ながら尋ねる。
「銀時って、この子の名前?」
「はい、坂田銀時って言うんですよ」
「何それ~! 親父様だけ知ってたなんてずるい!」
「別に秘密にしていたわけではないのですが……銀時からは言わなかったんですか?」
「こいつうるさい。言えなかった」
「なるほど、柚希がいつものように喋り続けてて、言うタイミングを逃したって事ですか」
くすくすと笑う松陽と、頷いて呆れた表情で柚希を見る少年、銀時。
「ひっど~い! 私の努力は何だったのよ~!」
そんな二人の姿に地団太を踏んで怒る柚希を「まぁまぁ」と笑って宥めた松陽は、片手で柚希を抱き寄せた。そしてもう片方の手を銀時に差し出し、こちらも抱き寄せる。
「私たちは全く違う場所、違う環境で生きて来ながらも、縁あって集う事が出来ました。これから仲良くやっていきましょう」
更に三人の頭をコツンと引っ付けるように導くと、松陽は心から嬉しそうに言った。
「親父様! お帰りなさいと言いたいとこだけど、途中まで私たちの事見てたでしょ?」
「あれま、バレてましたか。さすがですね」
ぷぅっと頬を膨らませている柚希の頭をポンポンと優しく叩いた松陽は、「はい、買ってきましたよ」と言って近くの町で調達してきた食料を渡す。少し急いで帰って来たのか、額には玉のような汗が浮かんでいた。
「この子が刀を抜いた時、親父様の気配を一瞬感じたの。特訓の成果、出てたでしょ?」
袋を受け取りながら得意げに言う柚希の目はキラキラと輝き、満面の笑みを見せている。
「そうですね。私の教え方が良かった事が証明されました」
「そこは普通娘を褒めるとこじゃないの?」
「あはは、分かってます。だからちゃんと頑張ったご褒美を買って来たんですよ」
「ご褒美……?」
松陽の視線が、先ほど渡された食料の袋に向けられている事に気付く柚希。中を見るとそこには……。
「わぁ、プリンだぁ!」
思わず叫んだ柚希に、少年がビクリと目を見開いて驚く。そんな事などお構いなしに、柚希は取り出したプリンを少年に見せた。
「これすっごく美味しいの。ちょっとお高い奴だから、特別な時にしか買ってもらえないんだよ。3つあるし、シロも一緒に食べようね」
「シロ?」
全身で喜びを表現している柚希が呼んだ聞き覚えの無い名前に、松陽が首をかしげる。
「シロとは一体?」
「この子の名前だよ。聞いても教えてくれないから私が付けたの。白い髪だからシロちゃん。ピッタリでしょ?」
「へぇ……それは良かったですね、銀時。名前を付けてもらえるというのは凄く幸せな事ですよ」
「……銀時?」
今度は柚希が首をかしげる番だった。ピタリと動きを止め、松陽と少年を交互に見ながら尋ねる。
「銀時って、この子の名前?」
「はい、坂田銀時って言うんですよ」
「何それ~! 親父様だけ知ってたなんてずるい!」
「別に秘密にしていたわけではないのですが……銀時からは言わなかったんですか?」
「こいつうるさい。言えなかった」
「なるほど、柚希がいつものように喋り続けてて、言うタイミングを逃したって事ですか」
くすくすと笑う松陽と、頷いて呆れた表情で柚希を見る少年、銀時。
「ひっど~い! 私の努力は何だったのよ~!」
そんな二人の姿に地団太を踏んで怒る柚希を「まぁまぁ」と笑って宥めた松陽は、片手で柚希を抱き寄せた。そしてもう片方の手を銀時に差し出し、こちらも抱き寄せる。
「私たちは全く違う場所、違う環境で生きて来ながらも、縁あって集う事が出来ました。これから仲良くやっていきましょう」
更に三人の頭をコツンと引っ付けるように導くと、松陽は心から嬉しそうに言った。