第一章 ~再会~(49P)
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「え、いや、ちょっと!」
さすがにこの状況は把握できたのだろう。ハッと気付いてジタバタともがき抜け出そうとしたが、同じく思い出してしまった腹部の激痛がそれを許さない。天人の追っ手からは何とか逃れられそうだが、代わりにこの男の掌中に捕らわれてしまうのか。
「誰だか知らないけど、助けてもらったことには感謝するわ。でもこれ以上は私と関わらないで。ほら、さっさと降ろしてよ」
それならせめて、と男を睨みつけた時だった。
「お前……『姫』、だろ?」
「はい? 誰かと勘違いしてるんじゃないの? 私は柚希。姫なんて名前じゃないわ」
「やっぱり姫だ……生きていたんだな、良かった……っ」
思いがけず優しい眼差しで見つめられ、頬が赤らんでしまう。慌てた柚希は取り繕うように言った。
「ちょっ、何言ってんのか分かんない。あんた誰? 私の何を知ってるの?」
「俺だよ、俺、シ……銀時」
銀時と名乗った男は、自分の頭を指差しながら言う。
「よく見ろよ、この髪。久しぶり過ぎて、銀さんの事忘れちゃった?」
「髪……銀さん……?」
銀時の視線と言葉に、柚希は戸惑っていた。どんなに記憶を辿っても存在が見つからないこの男は、どうやら自分を知っているらしい。しかも何やら深い関わりがあるようだ。その証拠に、柚希が本当に思い出せない事に気付いて大きな動揺を見せ始めている。
「んっとに覚えてないのかよ、柚希……いや、姫夜叉」
「姫夜叉?」
ますます分からないと言った表情の柚希に、絶望の色を隠せない銀時。そんな彼の表情に何故か罪の意識を覚えた柚希だったが、記憶に無い以上どうする事もできないわけで。
「悪いけど……私は姫夜叉なんて……知らな……っ」
しかも先ほど受けた体へのダメージは大きく、痛みが増してきていた。息をすることもままならなくなっていく体は、柚希の思考を停止させていく。
「お、おい、姫!」
「私……ちが……」
否定する力すら残っていない柚希は、そのまま銀時の腕の中で意識を失っていったのだった。
さすがにこの状況は把握できたのだろう。ハッと気付いてジタバタともがき抜け出そうとしたが、同じく思い出してしまった腹部の激痛がそれを許さない。天人の追っ手からは何とか逃れられそうだが、代わりにこの男の掌中に捕らわれてしまうのか。
「誰だか知らないけど、助けてもらったことには感謝するわ。でもこれ以上は私と関わらないで。ほら、さっさと降ろしてよ」
それならせめて、と男を睨みつけた時だった。
「お前……『姫』、だろ?」
「はい? 誰かと勘違いしてるんじゃないの? 私は柚希。姫なんて名前じゃないわ」
「やっぱり姫だ……生きていたんだな、良かった……っ」
思いがけず優しい眼差しで見つめられ、頬が赤らんでしまう。慌てた柚希は取り繕うように言った。
「ちょっ、何言ってんのか分かんない。あんた誰? 私の何を知ってるの?」
「俺だよ、俺、シ……銀時」
銀時と名乗った男は、自分の頭を指差しながら言う。
「よく見ろよ、この髪。久しぶり過ぎて、銀さんの事忘れちゃった?」
「髪……銀さん……?」
銀時の視線と言葉に、柚希は戸惑っていた。どんなに記憶を辿っても存在が見つからないこの男は、どうやら自分を知っているらしい。しかも何やら深い関わりがあるようだ。その証拠に、柚希が本当に思い出せない事に気付いて大きな動揺を見せ始めている。
「んっとに覚えてないのかよ、柚希……いや、姫夜叉」
「姫夜叉?」
ますます分からないと言った表情の柚希に、絶望の色を隠せない銀時。そんな彼の表情に何故か罪の意識を覚えた柚希だったが、記憶に無い以上どうする事もできないわけで。
「悪いけど……私は姫夜叉なんて……知らな……っ」
しかも先ほど受けた体へのダメージは大きく、痛みが増してきていた。息をすることもままならなくなっていく体は、柚希の思考を停止させていく。
「お、おい、姫!」
「私……ちが……」
否定する力すら残っていない柚希は、そのまま銀時の腕の中で意識を失っていったのだった。