第四章 〜絆〜(連載中)
名前変換はこちら
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……っ」
思わず体を震わせる柚希に、銀時が言う。
「どんだけ凄いこと想像してんだか。ヤラシー奴」
「ちが……っ」
「違わねーよ。お前が記憶を取り戻してから、三日と開けずその顔を拝んでたんだ。そんな銀さんが、柚希の欲情してる顔を見間違えるはずねーだろ」
「それはそ……うかもしれない、けど……でも……」
「最後にヤッてからもう二週間以上。良いかげん体が飢えてておかしくねーもんなァ。銀さんの前では素直になりなさいって」
「飢え……! 私は別にそんなんじゃ……」」
否定しても、赤く染まった頬は嘘をつけない。一度火のついた体は、誰よりも目の前の存在を求めていた。
触れた唇の熱と、その柔らかさ。
舌の絡んだ感触と、甘い痺れ。
ただ体を求めただけの快感ではない、魂までも包み込む幸せな感覚は、柚希が心から愛しいと思える銀時との触れ合いでしか得られないから。
「私は、ただ……」
柚希の手がゆっくりと伸ばされ、銀時の着物の袖を掴む。
──シロが傍にいてくれているのを実感したくて……
そう、素直な気持ちを口にしようとした時──
「それとも俺なんかじゃもう……物足りねェってか?」
「え?」
不意に、冷たいものが柚希の背中を走った。
目の前にいるのは、誰よりもよく見知った大切な男のはずなのに。自分を見つめる赤い瞳が何故だか見知らぬ者のように思えてゾッとする。
「シロ……?」
こみ上げる恐怖を必死に抑えつつ、柚希は訊いた。
「さっきから様子がおかしいとは思ってたけど……一体どうしたの? 言いたいことがあるのならはっきりと言って。怒ってるなら理由を聞かせてよ」
「……別に怒ってねェし」
「嘘! シロが私を見てくれてるように、私だってずっとシロの事を見てきたんだよ。誰よりも近くでシロを──」
「だったら!」
銀時の叫びが、柚希の言葉を遮る。驚きで固まった柚希がハッと気づいた時にはもう、体がフワリと浮いていて。
「え? ちょっと、何!?」
銀時に抱き上げられたのだと理解した時には、既に和室の布団が見える場所まで移動していた。敷かれたままの布団は、シーツの乱れ具合から少なくとも二日は畳まれていないはずだ。
「待ってよ! ねぇ、待ってってば、シロ!」
「待たねェ」
言いながら柚希を布団に下ろす。そのまま柚希の両手首を片手で掴むと、頭の上で布団に押さえつけた。
「シロ、何を!?」
「黙ってろ」
固まる柚希の首筋に、銀時の唇が触れる。そこは虚によって一文字の線が刻まれた場所だった。
刀傷だと分かっていながら何も言わず、舌で傷をなぞる銀時の表情は苦しげだ。ただしその顔は柚希には見えていない。
傷口を何度か往復した後、銀時が次に目指したのは鎖骨。初めは唇で優しく啄んでいたが、不意に強く吸ったことで柚希の体はビクリと震えた。
「……っ」
痛みに耐える柚希を上目遣いでチラリと見た銀時は、意を決したように空いている方の手を柚希の襟にかけ、一気に開く。露わになった胸に羽ばたく八咫烏は薄れ始めていたが、その羽を彩るように重ねて刻まれた赤は、ハッキリとその存在を主張していた。
「おっさんが言ってたのは……くそッ! あのヤロー、こんなトコでも宣戦布告しやがって」
怒気のこもった呟きが、柚希の耳に届く。何に怒っているのかが分からず銀時の視線を追いたかったが、覆い被さっている銀時の頭が邪魔をして見えない。
「宣戦布告って何……っく……」
問いかけたと同時に鎖骨と同じ痛みが胸を走り、柚希の頤が上がる。二度三度と繰り返される行為はいつもの甘い痛みとは違い、今はただ苦痛でしかなかった。
思わず体を震わせる柚希に、銀時が言う。
「どんだけ凄いこと想像してんだか。ヤラシー奴」
「ちが……っ」
「違わねーよ。お前が記憶を取り戻してから、三日と開けずその顔を拝んでたんだ。そんな銀さんが、柚希の欲情してる顔を見間違えるはずねーだろ」
「それはそ……うかもしれない、けど……でも……」
「最後にヤッてからもう二週間以上。良いかげん体が飢えてておかしくねーもんなァ。銀さんの前では素直になりなさいって」
「飢え……! 私は別にそんなんじゃ……」」
否定しても、赤く染まった頬は嘘をつけない。一度火のついた体は、誰よりも目の前の存在を求めていた。
触れた唇の熱と、その柔らかさ。
舌の絡んだ感触と、甘い痺れ。
ただ体を求めただけの快感ではない、魂までも包み込む幸せな感覚は、柚希が心から愛しいと思える銀時との触れ合いでしか得られないから。
「私は、ただ……」
柚希の手がゆっくりと伸ばされ、銀時の着物の袖を掴む。
──シロが傍にいてくれているのを実感したくて……
そう、素直な気持ちを口にしようとした時──
「それとも俺なんかじゃもう……物足りねェってか?」
「え?」
不意に、冷たいものが柚希の背中を走った。
目の前にいるのは、誰よりもよく見知った大切な男のはずなのに。自分を見つめる赤い瞳が何故だか見知らぬ者のように思えてゾッとする。
「シロ……?」
こみ上げる恐怖を必死に抑えつつ、柚希は訊いた。
「さっきから様子がおかしいとは思ってたけど……一体どうしたの? 言いたいことがあるのならはっきりと言って。怒ってるなら理由を聞かせてよ」
「……別に怒ってねェし」
「嘘! シロが私を見てくれてるように、私だってずっとシロの事を見てきたんだよ。誰よりも近くでシロを──」
「だったら!」
銀時の叫びが、柚希の言葉を遮る。驚きで固まった柚希がハッと気づいた時にはもう、体がフワリと浮いていて。
「え? ちょっと、何!?」
銀時に抱き上げられたのだと理解した時には、既に和室の布団が見える場所まで移動していた。敷かれたままの布団は、シーツの乱れ具合から少なくとも二日は畳まれていないはずだ。
「待ってよ! ねぇ、待ってってば、シロ!」
「待たねェ」
言いながら柚希を布団に下ろす。そのまま柚希の両手首を片手で掴むと、頭の上で布団に押さえつけた。
「シロ、何を!?」
「黙ってろ」
固まる柚希の首筋に、銀時の唇が触れる。そこは虚によって一文字の線が刻まれた場所だった。
刀傷だと分かっていながら何も言わず、舌で傷をなぞる銀時の表情は苦しげだ。ただしその顔は柚希には見えていない。
傷口を何度か往復した後、銀時が次に目指したのは鎖骨。初めは唇で優しく啄んでいたが、不意に強く吸ったことで柚希の体はビクリと震えた。
「……っ」
痛みに耐える柚希を上目遣いでチラリと見た銀時は、意を決したように空いている方の手を柚希の襟にかけ、一気に開く。露わになった胸に羽ばたく八咫烏は薄れ始めていたが、その羽を彩るように重ねて刻まれた赤は、ハッキリとその存在を主張していた。
「おっさんが言ってたのは……くそッ! あのヤロー、こんなトコでも宣戦布告しやがって」
怒気のこもった呟きが、柚希の耳に届く。何に怒っているのかが分からず銀時の視線を追いたかったが、覆い被さっている銀時の頭が邪魔をして見えない。
「宣戦布告って何……っく……」
問いかけたと同時に鎖骨と同じ痛みが胸を走り、柚希の頤が上がる。二度三度と繰り返される行為はいつもの甘い痛みとは違い、今はただ苦痛でしかなかった。
51/51ページ