第二章 ~松陽~(83P)
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「さっすが柚希。朝から絶好調じゃねェの」
「何が絶好調よ。わざわざ私をからかいに来たの?」
「そういう訳じゃねェけどよ。目が覚めちまったから何となく、だな」
「何となく、ねぇ……」
そうは言いながらも、銀時が自分を心配してここに来たことを、柚希は分かっていた。泣いていたと気付いていながら何も言わないのが、銀時の優しさだという事も。
「でも時にはこうやって早朝の空気を吸って、リフレッシュするのも良いでしょ?」
「……そうだな」
敢えて深くは聞かず、さりげない会話を続ける。今はこの空間が心地良いのだと分かっているから。最後に別れた頃とお互いへの想いは変わらないが、空白の時を挟んで再会した二人には、大人の余裕が感じられた。
「あ、日が昇るよ、シロ!」
ハッと気付いて柚希が指差した先には、太陽がほんの少し顔を覗かせている。徐々に強くなる光を受け、眩しさに目を細める柚希を見ながら銀時がポソリと言った。
「キレイ、だな」
その声が柚希に届いたのだろう。
「ほんとだね。こんなにキレイな朝日を見るのは久しぶり……」
と銀時の方を振り向きながら、嬉しそうに言った柚希の目に飛び込んできたのは、太陽の光を反射して美しく輝く銀色の髪と優しい微笑み。
思わず見惚れてしまった柚希だったが、ゆっくりと銀色の主が自分に重なろうとしている事に気付き、そっと瞳を閉じた。
柔らかな温もりが、何度も唇に触れては離れる。やがて頬が大きく温かい手に包まれ、深く口腔を探るように舌が差し込まれると、柚希は素直にそれに応じた。
舌が触れて絡まる度に、柚希の中に押し隠された悲しみが浄化されていく。
「柚希」
ひとしきりキスを堪能した銀時が、柚希の名を呼んだ。
「何?」
「もう一人で勝手に消えちまうなよ。置いて行かれんのは……二度と御免だからな」
「それは……」
否定も言い訳も許さないとばかりに、柚希が何かを言おうとするのを遮り口付ける銀時。こうなると、あとは頷くしか無い事を柚希は熟知していた。
「……大人になっても相変わらずの甘えん坊だね、シロは」
「うるせェ」
ポン、と柚希の頭に手を乗せ、頭をぐしゃぐしゃと撫でまわした銀時は、「ほら、そろそろ部屋に戻るぞ。今日の朝飯当番はお前だろ? 銀さん腹減ってるから大盛でよろしく」と言い残してあっさりと屋根から降りてしまう。
その後ろ姿を、柚希は微笑みながら見送った。
「気の使い方も変わらないなぁ。だから私は……」
言いながら俯いた柚希の声と髪を、一陣の風がさらう。顔にかかった髪を払いのけた柚希の瞳を潤ませていたのは、心を癒す優しい温もりだった。
「何が絶好調よ。わざわざ私をからかいに来たの?」
「そういう訳じゃねェけどよ。目が覚めちまったから何となく、だな」
「何となく、ねぇ……」
そうは言いながらも、銀時が自分を心配してここに来たことを、柚希は分かっていた。泣いていたと気付いていながら何も言わないのが、銀時の優しさだという事も。
「でも時にはこうやって早朝の空気を吸って、リフレッシュするのも良いでしょ?」
「……そうだな」
敢えて深くは聞かず、さりげない会話を続ける。今はこの空間が心地良いのだと分かっているから。最後に別れた頃とお互いへの想いは変わらないが、空白の時を挟んで再会した二人には、大人の余裕が感じられた。
「あ、日が昇るよ、シロ!」
ハッと気付いて柚希が指差した先には、太陽がほんの少し顔を覗かせている。徐々に強くなる光を受け、眩しさに目を細める柚希を見ながら銀時がポソリと言った。
「キレイ、だな」
その声が柚希に届いたのだろう。
「ほんとだね。こんなにキレイな朝日を見るのは久しぶり……」
と銀時の方を振り向きながら、嬉しそうに言った柚希の目に飛び込んできたのは、太陽の光を反射して美しく輝く銀色の髪と優しい微笑み。
思わず見惚れてしまった柚希だったが、ゆっくりと銀色の主が自分に重なろうとしている事に気付き、そっと瞳を閉じた。
柔らかな温もりが、何度も唇に触れては離れる。やがて頬が大きく温かい手に包まれ、深く口腔を探るように舌が差し込まれると、柚希は素直にそれに応じた。
舌が触れて絡まる度に、柚希の中に押し隠された悲しみが浄化されていく。
「柚希」
ひとしきりキスを堪能した銀時が、柚希の名を呼んだ。
「何?」
「もう一人で勝手に消えちまうなよ。置いて行かれんのは……二度と御免だからな」
「それは……」
否定も言い訳も許さないとばかりに、柚希が何かを言おうとするのを遮り口付ける銀時。こうなると、あとは頷くしか無い事を柚希は熟知していた。
「……大人になっても相変わらずの甘えん坊だね、シロは」
「うるせェ」
ポン、と柚希の頭に手を乗せ、頭をぐしゃぐしゃと撫でまわした銀時は、「ほら、そろそろ部屋に戻るぞ。今日の朝飯当番はお前だろ? 銀さん腹減ってるから大盛でよろしく」と言い残してあっさりと屋根から降りてしまう。
その後ろ姿を、柚希は微笑みながら見送った。
「気の使い方も変わらないなぁ。だから私は……」
言いながら俯いた柚希の声と髪を、一陣の風がさらう。顔にかかった髪を払いのけた柚希の瞳を潤ませていたのは、心を癒す優しい温もりだった。