第四章 〜絆〜(連載中)
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『だったら今すぐ電話を切って、思うように動きなさい。僕の存在が銀時くんの負担になってしまうのなら、こちらからの連絡は今後一切断っておく。その代わり全てが落ち着いた時、君が責任を持って柚希ちゃんと一緒に報告に来ること。言っておくが、僕ももう良い年だからそんなに長くは待っていられない。そこのところ、分かっておいておくれよ』
銀時に気を遣わせないよう明るく、でも決して無理だとは言わせない強い言葉が銀時の背中を押す。それは不思議と松陽を思い起こさせた。
「おっさん……」
『また君たちの元気な姿が拝めるのを楽しみにしているからね」
「はいよ」
『柚希ちゃんの事、宜しく頼むよ』
「あァ。ありがとな……緒方センセ」
ほんの少しだけ照れながら呼んだ名は緒方を驚かせ、胸を熱くさせる。
お互いそれ以上の言葉は無いまま、ごく自然に受話器を置いた。
「この借りはいつか返すぜ。必ずな」
誰にも聞かれる事のない呟きと共に受話器から手を離した銀時は、今もなお文言の変わらぬ記事を読み上げているテレビのキャスターを見つめる。正式な発表ではなく、リークなのではと思わせるテレビ局の慌てっぷりに何かを察したのか、銀時はテレビをオフにした。
「さ〜て、何から手をつけっかなァ」
先程からずっと握りしめたままだった柚希の扇子に向けて語りかける。
「今すぐにでもお前を追いかけてェが、そんな余裕は無さそうだ。色々と動き出しちまったみてェだしな」
先日の将軍暗殺はかろうじて阻止できたものの、喜々をお飾りの将軍に仕立て上げた天導衆たちに江戸を奪われる形となった。だがそれでもあの時点では茂々が生きていたことで、京での新政権樹立という希望が残されていたのだ。だからこそ今は巻き返しを図っていたところだったというのに。茂々暗殺が事実であれば、この先暗雲立ち込めるばかり。
「ったく、未だ傷も治ってねェってのに次から次へと……」
高杉と共に朧と対峙した時、柚希の名は欠片も出なかった。さすがの朧も今は柚希に構ってはいられないのだろうと、ある意味高をくくっていた自分が憎らしい。
「大体柚希は俺の女だっつーの。いつまでも横恋慕しやがってストーカーですかこのヤロー。柚希も何があったか知らねーが、朧なんざにノコノコついて行っちまいやがって。帰ってきたら徹底的にお仕置きしてやっから覚悟しとけ!」
強気な発言ながらも、扇子を唇に当てながら言う銀時の声は小さく震えていた。
だがすぐにその震えはすぐに消え、いつもの気怠い銀時に戻る。何故なら──
「銀さん、ニュース観ました!? 茂々公が……!」
「銀ちゃん、あんなの嘘よネ? 将軍は今一番安全な場所にいるってそよちゃん手紙に書いてたヨ。なのに……」
外出していた新八と神楽が血相を変えて万事屋に飛び込んできたから。
銀時は扇子を懐にしまうと、机に立てかけていた松葉杖に手を伸ばす。
「俺が知るかよ。一旦ばーさんトコ行くぞ」
そう言って銀時はゆっくり玄関に向かうと、子どもたちを引き連れ万事屋を出たのだった。
銀時に気を遣わせないよう明るく、でも決して無理だとは言わせない強い言葉が銀時の背中を押す。それは不思議と松陽を思い起こさせた。
「おっさん……」
『また君たちの元気な姿が拝めるのを楽しみにしているからね」
「はいよ」
『柚希ちゃんの事、宜しく頼むよ』
「あァ。ありがとな……緒方センセ」
ほんの少しだけ照れながら呼んだ名は緒方を驚かせ、胸を熱くさせる。
お互いそれ以上の言葉は無いまま、ごく自然に受話器を置いた。
「この借りはいつか返すぜ。必ずな」
誰にも聞かれる事のない呟きと共に受話器から手を離した銀時は、今もなお文言の変わらぬ記事を読み上げているテレビのキャスターを見つめる。正式な発表ではなく、リークなのではと思わせるテレビ局の慌てっぷりに何かを察したのか、銀時はテレビをオフにした。
「さ〜て、何から手をつけっかなァ」
先程からずっと握りしめたままだった柚希の扇子に向けて語りかける。
「今すぐにでもお前を追いかけてェが、そんな余裕は無さそうだ。色々と動き出しちまったみてェだしな」
先日の将軍暗殺はかろうじて阻止できたものの、喜々をお飾りの将軍に仕立て上げた天導衆たちに江戸を奪われる形となった。だがそれでもあの時点では茂々が生きていたことで、京での新政権樹立という希望が残されていたのだ。だからこそ今は巻き返しを図っていたところだったというのに。茂々暗殺が事実であれば、この先暗雲立ち込めるばかり。
「ったく、未だ傷も治ってねェってのに次から次へと……」
高杉と共に朧と対峙した時、柚希の名は欠片も出なかった。さすがの朧も今は柚希に構ってはいられないのだろうと、ある意味高をくくっていた自分が憎らしい。
「大体柚希は俺の女だっつーの。いつまでも横恋慕しやがってストーカーですかこのヤロー。柚希も何があったか知らねーが、朧なんざにノコノコついて行っちまいやがって。帰ってきたら徹底的にお仕置きしてやっから覚悟しとけ!」
強気な発言ながらも、扇子を唇に当てながら言う銀時の声は小さく震えていた。
だがすぐにその震えはすぐに消え、いつもの気怠い銀時に戻る。何故なら──
「銀さん、ニュース観ました!? 茂々公が……!」
「銀ちゃん、あんなの嘘よネ? 将軍は今一番安全な場所にいるってそよちゃん手紙に書いてたヨ。なのに……」
外出していた新八と神楽が血相を変えて万事屋に飛び込んできたから。
銀時は扇子を懐にしまうと、机に立てかけていた松葉杖に手を伸ばす。
「俺が知るかよ。一旦ばーさんトコ行くぞ」
そう言って銀時はゆっくり玄関に向かうと、子どもたちを引き連れ万事屋を出たのだった。