第四章 〜絆〜(連載中)
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やがて緒方との電話を切ってから十分ほど経った頃。万事屋の電話が鳴った瞬間に銀時は受話器を取った。
「もしもし!?」
『銀時くんかい? 緒方だが……』
「んなこたァ分かってるよ。で、どうだった?」
相手の確認もそこそこに結果を訊ねる。緒方も銀時が待ちかねていたのを分かっていたため、前置きなしに話し始めた。
『診療所から一番近い公衆電話からかけているんだが、電話台の上には使い終わったテレホンカードと小銭が残されていただけだったよ。他には何も無かったし、目に見える範囲に柚希ちゃんの姿は見当たらなかった』
「そうか……」
『だがここに来る途中に偶然小夜ちゃんと会ってね。少しだけ話を聞いたんだ』
「小夜? 柚希の友達のか?」
『あァ、その小夜ちゃんだよ。彼女が言うには、つい最近松陽くんのお墓のあたりで天然パーマの白髪の青年を見かけたんだそうだ』
「……ッ!」
動揺が、銀時に息を呑ませる。
『小夜ちゃんは銀時くんかと思ったらしくて、その話を柚希ちゃんにしたら、銀時くんではないとはっきり否定されたようだよ』
「そん時の……柚希の様子については何か言ってたか?」
『酷く動揺していたそうだ。怯えているようにも見えて気にはなったが、詳しい話を聞くことはできなかったと言っていたよ』
「くそッ、やっぱりか……ッ!」
もう、冷静ではいられなかった。嫌な予感は確信となり、激しい焦りと苛立ちが電話越しに緒方にも伝わる。
『その人物に心当たりがあるんだね』
「んなもん無ェよと言いてェトコだが、残念ながらありまくりだ。ずっと俺たちを……柚希を苦しめてきた張本人だからな」
『ずっとって……一体その相手は何者なんだい?』
「それは……」
──全ての元凶だ。
そう、銀時が口を開きかけた時だった。
点けっぱなしにしていたテレビがにわかに騒がしくなる。思わずそちらに視線を向けた銀時は、流れたテロップに目を奪われ言葉を失った。同じく横からニュース原稿を渡されたキャスターも言葉を失い、一転、興奮状態で速報を読み上げる。
【たった今入ったニュースです。徳川茂々公が暗殺されました! 茂々公暗殺です! 犯人は──】
『銀時くん?』
状況の見えない緒方が電話越しに銀時を呼ぶ。しかしその声が届かぬ程に、銀時の心は激しく動揺していた。
「バカな……」
『銀時くん、どうしたんだい? 銀時くん!』
銀時の後ろからテレビの音は聞こえてはいたが、その内容までは聞き取れない。何が起きているのか分からぬまま、緒方は銀時に声をかけ続けた。
『銀時くん?』
「……」
『返事をしてくれないか、銀時くん。何かあったのかい? ひょっとして柚希ちゃんに繋がる情報でも……』
「柚希……!」
テレビに釘付けになっていた銀時の意識を、柚希の名が引き戻す。ここでやっと緒方に呼ばれていたことに気付いた銀時は、動揺を隠せぬままに言った。
「すまねェおっさん。勝手ばかり言っちまうが……俺たちのことは忘れてくれ。柚希も俺も、アンタにとっては過去の人間だ。もうこれ以上関わらない方が良い」
『また随分といきなりな話だねぇ。僕が君たちと関わりを持つのが危なくなるようなことが起きたのかい?』
「詳しくは話せねェが、これ以上深入りしちまったら後戻りができなくなるのは確かだ。今の俺は、おっさんに何かあっても助けには行けねェ。それ以前にアンタを巻き込んじまうようなことがあったら、きっと柚希にぶん殴られちまわァ。だから──」
冗談めかしてはいるが、その声は真剣そのもので緒方の胸を打つ。言葉通り勝手を並べてはいても、決して銀時が自分を蔑ろにしているわけでは無い事が分かるから。
今自分が銀時にどんな言葉をかければ良いのか、どんな答えを求められているのかを察し、緒方は言った。
「もしもし!?」
『銀時くんかい? 緒方だが……』
「んなこたァ分かってるよ。で、どうだった?」
相手の確認もそこそこに結果を訊ねる。緒方も銀時が待ちかねていたのを分かっていたため、前置きなしに話し始めた。
『診療所から一番近い公衆電話からかけているんだが、電話台の上には使い終わったテレホンカードと小銭が残されていただけだったよ。他には何も無かったし、目に見える範囲に柚希ちゃんの姿は見当たらなかった』
「そうか……」
『だがここに来る途中に偶然小夜ちゃんと会ってね。少しだけ話を聞いたんだ』
「小夜? 柚希の友達のか?」
『あァ、その小夜ちゃんだよ。彼女が言うには、つい最近松陽くんのお墓のあたりで天然パーマの白髪の青年を見かけたんだそうだ』
「……ッ!」
動揺が、銀時に息を呑ませる。
『小夜ちゃんは銀時くんかと思ったらしくて、その話を柚希ちゃんにしたら、銀時くんではないとはっきり否定されたようだよ』
「そん時の……柚希の様子については何か言ってたか?」
『酷く動揺していたそうだ。怯えているようにも見えて気にはなったが、詳しい話を聞くことはできなかったと言っていたよ』
「くそッ、やっぱりか……ッ!」
もう、冷静ではいられなかった。嫌な予感は確信となり、激しい焦りと苛立ちが電話越しに緒方にも伝わる。
『その人物に心当たりがあるんだね』
「んなもん無ェよと言いてェトコだが、残念ながらありまくりだ。ずっと俺たちを……柚希を苦しめてきた張本人だからな」
『ずっとって……一体その相手は何者なんだい?』
「それは……」
──全ての元凶だ。
そう、銀時が口を開きかけた時だった。
点けっぱなしにしていたテレビがにわかに騒がしくなる。思わずそちらに視線を向けた銀時は、流れたテロップに目を奪われ言葉を失った。同じく横からニュース原稿を渡されたキャスターも言葉を失い、一転、興奮状態で速報を読み上げる。
【たった今入ったニュースです。徳川茂々公が暗殺されました! 茂々公暗殺です! 犯人は──】
『銀時くん?』
状況の見えない緒方が電話越しに銀時を呼ぶ。しかしその声が届かぬ程に、銀時の心は激しく動揺していた。
「バカな……」
『銀時くん、どうしたんだい? 銀時くん!』
銀時の後ろからテレビの音は聞こえてはいたが、その内容までは聞き取れない。何が起きているのか分からぬまま、緒方は銀時に声をかけ続けた。
『銀時くん?』
「……」
『返事をしてくれないか、銀時くん。何かあったのかい? ひょっとして柚希ちゃんに繋がる情報でも……』
「柚希……!」
テレビに釘付けになっていた銀時の意識を、柚希の名が引き戻す。ここでやっと緒方に呼ばれていたことに気付いた銀時は、動揺を隠せぬままに言った。
「すまねェおっさん。勝手ばかり言っちまうが……俺たちのことは忘れてくれ。柚希も俺も、アンタにとっては過去の人間だ。もうこれ以上関わらない方が良い」
『また随分といきなりな話だねぇ。僕が君たちと関わりを持つのが危なくなるようなことが起きたのかい?』
「詳しくは話せねェが、これ以上深入りしちまったら後戻りができなくなるのは確かだ。今の俺は、おっさんに何かあっても助けには行けねェ。それ以前にアンタを巻き込んじまうようなことがあったら、きっと柚希にぶん殴られちまわァ。だから──」
冗談めかしてはいるが、その声は真剣そのもので緒方の胸を打つ。言葉通り勝手を並べてはいても、決して銀時が自分を蔑ろにしているわけでは無い事が分かるから。
今自分が銀時にどんな言葉をかければ良いのか、どんな答えを求められているのかを察し、緒方は言った。