第四章 〜絆〜(連載中)
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夕食を終えて風呂まで済ませた柚希が、滞在中自由に使って良いと借り受けた部屋で横になったのは、午後十一時頃。万事屋にいれば、神楽が押し入れで眠りに就き、柚希は銀時と肩を並べて語らっている時間だ。
「……今頃どうしてるかな? シロ……」
夕食後、改めて万事屋に電話を入れてみたものの、やはり誰も電話には出なかった。どうにも胸騒ぎがして、一階に住むお登勢にも電話をしてみたが、
「あいつらなら、城から呼び出されて出かけたよ。神楽が姫様と懇意にしてるからねェ。遊び相手にでもなってるんじゃないかい? アンタもせっかくの里帰りなんだ。今の内にゆっくりと羽を伸ばしておきな」
という、情報としては薄い答えが返ってきただけ。
「お登勢さんが嘘をついているとは思えないし、仕事の依頼自体はお城の関係者からだと考えて間違いはなさそうね。でもそれならそうと言ってくれれば、私はおとなしく留守番をしてたのに。それとも私を一人で万事屋に置いておけない理由でもあったのか……」
考えれば考えるほど、深みにはまっていく。
しかも桂によって強引にここまで連れてこられたにも拘らず、当の桂も柚希を置いて姿を消してしまった。緒方も何かしら腹に一物抱えているようで、柚希の不安は募る一方だ。
「せめて声だけでも聞かせてくれたら良いのに」
まるで自分一人が蚊帳の外に追いやられているような寂しさを覚えた柚希は、勢いよく布団を頭までかぶる。長く仕舞い込まれていたのだろうか、布団に染み付いた昔懐かしい樟脳の臭いは、子供の頃に感じた『銀時に置いていかれる』恐怖を思い出させた。そこから堰を切ったように次々と脳裏に浮かぶ過去の記憶が、柚希をますます不安にさせる。
「シロ……」
震えた声と共にハラリと柚希の眦からこぼれ落ちた一粒の涙。それは誰の目に付くこともなく、静かに布団に吸い込まれていったのだった。
「……今頃どうしてるかな? シロ……」
夕食後、改めて万事屋に電話を入れてみたものの、やはり誰も電話には出なかった。どうにも胸騒ぎがして、一階に住むお登勢にも電話をしてみたが、
「あいつらなら、城から呼び出されて出かけたよ。神楽が姫様と懇意にしてるからねェ。遊び相手にでもなってるんじゃないかい? アンタもせっかくの里帰りなんだ。今の内にゆっくりと羽を伸ばしておきな」
という、情報としては薄い答えが返ってきただけ。
「お登勢さんが嘘をついているとは思えないし、仕事の依頼自体はお城の関係者からだと考えて間違いはなさそうね。でもそれならそうと言ってくれれば、私はおとなしく留守番をしてたのに。それとも私を一人で万事屋に置いておけない理由でもあったのか……」
考えれば考えるほど、深みにはまっていく。
しかも桂によって強引にここまで連れてこられたにも拘らず、当の桂も柚希を置いて姿を消してしまった。緒方も何かしら腹に一物抱えているようで、柚希の不安は募る一方だ。
「せめて声だけでも聞かせてくれたら良いのに」
まるで自分一人が蚊帳の外に追いやられているような寂しさを覚えた柚希は、勢いよく布団を頭までかぶる。長く仕舞い込まれていたのだろうか、布団に染み付いた昔懐かしい樟脳の臭いは、子供の頃に感じた『銀時に置いていかれる』恐怖を思い出させた。そこから堰を切ったように次々と脳裏に浮かぶ過去の記憶が、柚希をますます不安にさせる。
「シロ……」
震えた声と共にハラリと柚希の眦からこぼれ落ちた一粒の涙。それは誰の目に付くこともなく、静かに布団に吸い込まれていったのだった。