第四章 〜絆〜(連載中)
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「他の扇子はどうする? 直せなくはねェが、部品を替えるだけだと強度は落ちちまう。嬢ちゃんさえ良ければ新品と交換してやるぜ」
「ありがたいですが、今まで苦楽を共にしてきていますし……」
「そんじゃァ保存用として、見栄えだけでも良くしとくか。実戦には新しいのを使いな」
「はい、そうします」
柚希の返事に、すぐ横の引き出しを開けた畑中は、一本の扇子を取り出す。
「さっき試した物と同じモンだ。これからもう何本か作ってやるから、暫くは緒方先生んとこに滞在して、手伝いでもしてろや。まァ最初からそのつもりなんだろうけどよ」
柚希に向けて扇子を投げ寄越し、作業机に向かった畑中の顔はとても嬉しそうだ。
「さァて、久しぶりに忙しくなるなァ。まずはこの扇子の技術を、徹底して拝ませてもらうところから始めるとするか」
杉田玄黒と平賀源外の名を聞いたところで、畑中に意味はない。だが二人の奇才の確かな技術は、畑中のからくり師としての血を騒がせ、かつてない高揚感をもたらしていた。
「出来上がり次第連絡してやるよ。じゃァな」
「え? じゃあなって……ちょっと待って下さい」
いきなり話を打ち切られ、柚希が慌てる。
「久しぶりの再会なのに……少しくらい話をしましょうよ」
「話だァ?」
柚希を振り向きもせず、玄黒たちによって手を加えられた扇子をまじまじと眺めながら、畑中は言った。
「んな時間を作るくらいなら『コイツ』と話をしてェ」
「……でしょうね」
ダメ元で言った言葉に、予想通りの返事が返ってきた事で、柚希は苦笑いをするしか無い。畑中という男は、カラクリが絡むと周りが見えなってしまう。それは昔からであり、柚希も身に沁みて分かっているから。
「分かりましたよ。でも大体の予定くらいは聞かせておいて下さい。全てが終わるまでにどれくらいかかりそうですか?」
会話を諦めた柚希は、退室すべく立ち上がりながら聞いた。
「そうだなァ……十日ってとこか」
「分かりました。じゃあ連絡待ってますね」
「おうよ。良い仕事するからな」
やはり振り向くこと無く、軽く片手を上げた畑中は、本格的に作業に取り掛かる。その後ろ姿に小さく会釈した柚希は、それ以上何も言わずに部屋を後にした。
「ありがたいですが、今まで苦楽を共にしてきていますし……」
「そんじゃァ保存用として、見栄えだけでも良くしとくか。実戦には新しいのを使いな」
「はい、そうします」
柚希の返事に、すぐ横の引き出しを開けた畑中は、一本の扇子を取り出す。
「さっき試した物と同じモンだ。これからもう何本か作ってやるから、暫くは緒方先生んとこに滞在して、手伝いでもしてろや。まァ最初からそのつもりなんだろうけどよ」
柚希に向けて扇子を投げ寄越し、作業机に向かった畑中の顔はとても嬉しそうだ。
「さァて、久しぶりに忙しくなるなァ。まずはこの扇子の技術を、徹底して拝ませてもらうところから始めるとするか」
杉田玄黒と平賀源外の名を聞いたところで、畑中に意味はない。だが二人の奇才の確かな技術は、畑中のからくり師としての血を騒がせ、かつてない高揚感をもたらしていた。
「出来上がり次第連絡してやるよ。じゃァな」
「え? じゃあなって……ちょっと待って下さい」
いきなり話を打ち切られ、柚希が慌てる。
「久しぶりの再会なのに……少しくらい話をしましょうよ」
「話だァ?」
柚希を振り向きもせず、玄黒たちによって手を加えられた扇子をまじまじと眺めながら、畑中は言った。
「んな時間を作るくらいなら『コイツ』と話をしてェ」
「……でしょうね」
ダメ元で言った言葉に、予想通りの返事が返ってきた事で、柚希は苦笑いをするしか無い。畑中という男は、カラクリが絡むと周りが見えなってしまう。それは昔からであり、柚希も身に沁みて分かっているから。
「分かりましたよ。でも大体の予定くらいは聞かせておいて下さい。全てが終わるまでにどれくらいかかりそうですか?」
会話を諦めた柚希は、退室すべく立ち上がりながら聞いた。
「そうだなァ……十日ってとこか」
「分かりました。じゃあ連絡待ってますね」
「おうよ。良い仕事するからな」
やはり振り向くこと無く、軽く片手を上げた畑中は、本格的に作業に取り掛かる。その後ろ姿に小さく会釈した柚希は、それ以上何も言わずに部屋を後にした。