第一章 ~再会~(49P)
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「んなのは俺の自由だろ? それよか源外のじーさんよぉ。俺にゃこういうのはさっぱりなんだが、これからどうすりゃー良いんだ?」
照れくさいのか、強引に話を変えた銀時に『源外』と呼ばれた老人は、ふむ、としばし考え込む。そして柚希に言った。
「お前さんはどうしたい? 危険を承知でそいつを外してみるか。それとも記憶は曖昧でも今のまま様子を見ているか。あくまでわしの想像だが、天人たちはこのままお前さんを放っておきはしねぇだろう。銀の字の側で守られていたとしても、そのカラクリの影響で何が起きるかは分かったもんじゃねぇ。今んところはかぶき町内の特殊な電波を拾って上手くいかねぇみたいだが、その気になりゃぁ自ら投降するよう操作できるようになるのも時間の問題じゃろうて」
源外の言葉に、今度は柚希が考え込む。だがそれは結論に悩んでいるのではなく、何から話すべきかをまとめる為だったようだ。
「私の答えは決まっています。でもその前に一つだけ確認させて下さい。今銀時がご老人を『源外』と呼びましたが、貴方のフルネームを教えていただけますか?」
真剣なまなざしを向けて聞く柚希に、源外は答えた。
「わしは平賀源外じゃよ。それがどうかしたか?」
「平賀源外……そうですか、貴方が……!」
柚希の顔に驚きと、それでいて嬉しそうな笑みが浮かぶ。吹き出すように笑った柚希の表情は、何かが吹っ切れたようにも見えた。
「なーに笑ってんだよ、柚希。今更ながらにじーさんの顔がそんなにおかしいか? まぁあんだけキレイにてっぺんハゲ散らかしてんのに、髭がボーボーっつー残念ミラクルを成し遂げてるジジイだかんな。笑えんのも分かるけどよ」
「銀の字、お前こないだ縮毛矯正できるカラクリが欲しいとか言ってなかったか?」
「すんませェん! かぶき町イチのダンディな爺様の間違いでしたァッ!」
柚希の笑顔は、男二人の心までも明るくしたらしい。ふざけたやり取りからも分かるように、先ほどまでの悲壮感が薄れ、不思議と希望が見えた気がしていた。
「あのねぇ、銀時。私はこのご老人……源外様を見て笑ったんじゃなくて、源外様だと確認できたことが嬉しかったの。だって私はこの方を探していたんだから」
「じーさんをか?」
「そう。源外様がいれば、上手くいく可能性はかなり高いわ。お願いします、源外様。私はこのピアスを外してしまいたい。ご協力願えますか?」
そう言って柚希は頭を下げた。
「私がいた春雨の施設で、直属の上司にあたる所長が言ってたんです。『かぶき町の平賀源外の所に行けば、必ずお前を助けてくれる』と。『扇子を見せればきっと分かってくれる』とも言っていました」
「その所長ってのは誰だ? わしゃ春雨に知り合いなんぞいねぇがな」
「所長は地球人です。杉田玄黒という名前でした」
「でし『た』……ってこたぁ……」
「はい。私と一緒に施設を抜け出した際に……」
そこまで話した柚希の顔が曇った。見ているだけで深い悲しみを感じる表情に、「そうか」と一言答えた源外は、ポン、と柚希の頭に手を乗せる。その手はとても大きくて温かかった。
「奴ァ昔の知り合いだ。いつの間にか姿が見えなくなったとは思ってたが、まさか春雨にいたとはなぁ。人の縁ってな不思議なモンだ」
そう言った源外の目は、どこか遠くを見ているようで。
よほど仲が良かったのかもしれない。そう感じた柚希は「私のせいですみません……」と詫びたが、当の源外はにやりと笑い、柚希の頭をくしゃくしゃとかき乱しながら言った。
「お前さんだって辛かったんじゃろうて。その記憶ははっきりと残っとるんじゃろ? しかもこれから記憶を取り戻せたら、更に辛い思いをするかもしれん。それでも思い出したくて、どこにいるとも分からんかったわしを探して一人逃げとったのなら、玄黒の為にもひと肌脱がにゃなるめぇよ」
照れくさいのか、強引に話を変えた銀時に『源外』と呼ばれた老人は、ふむ、としばし考え込む。そして柚希に言った。
「お前さんはどうしたい? 危険を承知でそいつを外してみるか。それとも記憶は曖昧でも今のまま様子を見ているか。あくまでわしの想像だが、天人たちはこのままお前さんを放っておきはしねぇだろう。銀の字の側で守られていたとしても、そのカラクリの影響で何が起きるかは分かったもんじゃねぇ。今んところはかぶき町内の特殊な電波を拾って上手くいかねぇみたいだが、その気になりゃぁ自ら投降するよう操作できるようになるのも時間の問題じゃろうて」
源外の言葉に、今度は柚希が考え込む。だがそれは結論に悩んでいるのではなく、何から話すべきかをまとめる為だったようだ。
「私の答えは決まっています。でもその前に一つだけ確認させて下さい。今銀時がご老人を『源外』と呼びましたが、貴方のフルネームを教えていただけますか?」
真剣なまなざしを向けて聞く柚希に、源外は答えた。
「わしは平賀源外じゃよ。それがどうかしたか?」
「平賀源外……そうですか、貴方が……!」
柚希の顔に驚きと、それでいて嬉しそうな笑みが浮かぶ。吹き出すように笑った柚希の表情は、何かが吹っ切れたようにも見えた。
「なーに笑ってんだよ、柚希。今更ながらにじーさんの顔がそんなにおかしいか? まぁあんだけキレイにてっぺんハゲ散らかしてんのに、髭がボーボーっつー残念ミラクルを成し遂げてるジジイだかんな。笑えんのも分かるけどよ」
「銀の字、お前こないだ縮毛矯正できるカラクリが欲しいとか言ってなかったか?」
「すんませェん! かぶき町イチのダンディな爺様の間違いでしたァッ!」
柚希の笑顔は、男二人の心までも明るくしたらしい。ふざけたやり取りからも分かるように、先ほどまでの悲壮感が薄れ、不思議と希望が見えた気がしていた。
「あのねぇ、銀時。私はこのご老人……源外様を見て笑ったんじゃなくて、源外様だと確認できたことが嬉しかったの。だって私はこの方を探していたんだから」
「じーさんをか?」
「そう。源外様がいれば、上手くいく可能性はかなり高いわ。お願いします、源外様。私はこのピアスを外してしまいたい。ご協力願えますか?」
そう言って柚希は頭を下げた。
「私がいた春雨の施設で、直属の上司にあたる所長が言ってたんです。『かぶき町の平賀源外の所に行けば、必ずお前を助けてくれる』と。『扇子を見せればきっと分かってくれる』とも言っていました」
「その所長ってのは誰だ? わしゃ春雨に知り合いなんぞいねぇがな」
「所長は地球人です。杉田玄黒という名前でした」
「でし『た』……ってこたぁ……」
「はい。私と一緒に施設を抜け出した際に……」
そこまで話した柚希の顔が曇った。見ているだけで深い悲しみを感じる表情に、「そうか」と一言答えた源外は、ポン、と柚希の頭に手を乗せる。その手はとても大きくて温かかった。
「奴ァ昔の知り合いだ。いつの間にか姿が見えなくなったとは思ってたが、まさか春雨にいたとはなぁ。人の縁ってな不思議なモンだ」
そう言った源外の目は、どこか遠くを見ているようで。
よほど仲が良かったのかもしれない。そう感じた柚希は「私のせいですみません……」と詫びたが、当の源外はにやりと笑い、柚希の頭をくしゃくしゃとかき乱しながら言った。
「お前さんだって辛かったんじゃろうて。その記憶ははっきりと残っとるんじゃろ? しかもこれから記憶を取り戻せたら、更に辛い思いをするかもしれん。それでも思い出したくて、どこにいるとも分からんかったわしを探して一人逃げとったのなら、玄黒の為にもひと肌脱がにゃなるめぇよ」