第三章 〜夜叉〜(70P)
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松陽が、これだけはと言って肌身離さず持ち歩いていたお守りであり、柚希たちと出会ってから今までに、たった一枚しか撮る事の無かった家族としての大切な写真。それがここにあるという事は――。
「理解できたようだな」
冷たい声が、頭の上から降ってくる。しかし柚希はもう、朧に感情をぶつける事すら出来ない程に打ちのめされていた。ただ無意識に流れ出る涙が、柚希の心の内を表すだけだ。
そんな柚希を見て、朧は言う。
「松陽の弟子というのは、つくづく弱い存在だな」
写真を胸に抱き、ただポロポロと涙を流すだけの柚希は、そんな挑発的な言葉にすらも反応を見せない。
「俺の声すら聞こえなくなる程に心を閉ざしたか」
何を言っても反応の無い柚希に、朧は小さくため息を吐く。そして面倒くさそうに手を伸ばすと、柚希の後ろ襟を掴んで強引に立ち上がらせた。
目の前に顔を持ち上げ、再び光を失った柚希に視線を合わせる。
「心を閉ざそうが何だろうが、お前は俺の傀儡であり、俺の手の中から逃れる事などできない。それだけは忘れるな」
そう言って朧はいつものように、朧の傀儡の証である紋章を浮かび上がらせるべく柚希に口付けた。そのまま柚希の胸元を開き、紋章を確認した朧が手を離しかけた時――項垂れて焦点の合わぬままの柚希がポツリと言った。
「何で……あんなに親父様に愛されてたのに、こんな酷い事が出来るの……?」
消え入りそうな声で言われた言葉に、朧の眉がピクリと動く。
「松下村塾を……貴方と同じ吉田松陽の弟子である私たちを苦しめて……吉田松陽自身の命まで奪って。そんなにも親父様の事が嫌いだったの……?」
続けて柚希がそう言った瞬間――。
「ふ……っざけるな!」
「え……!?」
突然、柚希の全身が勢いよく宙を舞った。そのままバンっと大きな音と衝撃が響き、柚希が「ぐっ!」と声をあげる。畳に叩きつけられたのだと柚希が気付いた時にはもう、朧によってその体は組み敷かれていた。
「お、朧!?」
「ふざけるなよ……先生の苦しみも悲しみも知らない癖に、お前たちはのうのうと先生の寵愛を受けて幸せに生きてきて……っ!」
「……っ! 朧やめて! 痛……やぁっ!」
それはまさかの出来事だった。
強引に柚希を押さえつけた朧が、勢いよく衣服を破る。露わになった胸元へと躊躇なく唇を這わせた朧は、紋章に重ねるように強く吸い付いた。
「理解できたようだな」
冷たい声が、頭の上から降ってくる。しかし柚希はもう、朧に感情をぶつける事すら出来ない程に打ちのめされていた。ただ無意識に流れ出る涙が、柚希の心の内を表すだけだ。
そんな柚希を見て、朧は言う。
「松陽の弟子というのは、つくづく弱い存在だな」
写真を胸に抱き、ただポロポロと涙を流すだけの柚希は、そんな挑発的な言葉にすらも反応を見せない。
「俺の声すら聞こえなくなる程に心を閉ざしたか」
何を言っても反応の無い柚希に、朧は小さくため息を吐く。そして面倒くさそうに手を伸ばすと、柚希の後ろ襟を掴んで強引に立ち上がらせた。
目の前に顔を持ち上げ、再び光を失った柚希に視線を合わせる。
「心を閉ざそうが何だろうが、お前は俺の傀儡であり、俺の手の中から逃れる事などできない。それだけは忘れるな」
そう言って朧はいつものように、朧の傀儡の証である紋章を浮かび上がらせるべく柚希に口付けた。そのまま柚希の胸元を開き、紋章を確認した朧が手を離しかけた時――項垂れて焦点の合わぬままの柚希がポツリと言った。
「何で……あんなに親父様に愛されてたのに、こんな酷い事が出来るの……?」
消え入りそうな声で言われた言葉に、朧の眉がピクリと動く。
「松下村塾を……貴方と同じ吉田松陽の弟子である私たちを苦しめて……吉田松陽自身の命まで奪って。そんなにも親父様の事が嫌いだったの……?」
続けて柚希がそう言った瞬間――。
「ふ……っざけるな!」
「え……!?」
突然、柚希の全身が勢いよく宙を舞った。そのままバンっと大きな音と衝撃が響き、柚希が「ぐっ!」と声をあげる。畳に叩きつけられたのだと柚希が気付いた時にはもう、朧によってその体は組み敷かれていた。
「お、朧!?」
「ふざけるなよ……先生の苦しみも悲しみも知らない癖に、お前たちはのうのうと先生の寵愛を受けて幸せに生きてきて……っ!」
「……っ! 朧やめて! 痛……やぁっ!」
それはまさかの出来事だった。
強引に柚希を押さえつけた朧が、勢いよく衣服を破る。露わになった胸元へと躊躇なく唇を這わせた朧は、紋章に重ねるように強く吸い付いた。