第三章 〜夜叉〜(70P)
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「親父様が連れて行かれた数日後、朧が私に告げたわ。『松陽は死んだ。白夜叉の手にかかってな』って。嘘じゃないかと確認する必要なんて無かった。親父様がたった一つだけ、肌身離さず持っていたお守りを渡されたからね」
そこまで話した柚希は「ちょっと待ってて」と立ち上がった。柚希の荷物がまとめてある収納から持ち出してきたのは、古びてあちこちにほつれのある巾着。それを開き、中から取り出したのは、小さな紙の束だった。
「これ……松下村塾でお前が撮りまくってた写真じゃねェか」
「そうよ。実は緒方先生の診療所に勤めてた頃、休憩時間に整理できるからと持ち込んでたの。お陰で屋敷が燃えてしまっても、これだけは残ってたんだ。だから戦場に向かう時も、ずっと大事に持ってたの」
一枚、また一枚とめくる度に思い出されるあの頃の記憶。子供達が生き生きとした表情で写る中には、銀時や高杉、桂の姿も混ざっていた。
その中に一枚だけ、どの写真よりもクシャクシャになり、所々に血痕の残る物があって銀時の目を引く。
「こいつがそうか?」
一度破れたのか、テープで補修された写真を手に取った銀時は、そこに写る懐かしい姿にグッと喉を詰まらせた。
「松陽……ッ!」
記憶に残る姿と寸分違わず、優しい笑顔をファインダーに向けている松陽。そこに一緒に写っているのは、銀時と柚希だった。
「いつも私は撮るばかりだからって、親父様の提案で高杉くんと桂くんに撮ってもらったんだよね。覚えてる?」
「ああ。カメラを落としちゃいけないってんで、二人掛かりで必死に撮ってたよな」
「これだけ沢山の写真を撮っていたにも拘らず、三人で撮った物はこれしか無かったから、何があってもこの一枚だけは持ち歩きたいって着物の内側に縫い留めてたらしいの。牢で再会した時にこれを見せられた時は驚いたわ。だから……」
写真の中の松陽をそっと撫でる柚希の目に、涙が溢れる。
「松陽の形見だと言って、朧がこれを渡してきた段階で私は確信しちゃってた。親父様はもうこの世にはいないんだって……私は親父様を助けられなかったんだって……」
「柚希……っ!」
ポロポロとこぼれ落ちる涙を拭いもせず、静かに泣く柚希の肩を抱き寄せた銀時。だが彼の目にもまた、涙が浮かんでいた。
そこまで話した柚希は「ちょっと待ってて」と立ち上がった。柚希の荷物がまとめてある収納から持ち出してきたのは、古びてあちこちにほつれのある巾着。それを開き、中から取り出したのは、小さな紙の束だった。
「これ……松下村塾でお前が撮りまくってた写真じゃねェか」
「そうよ。実は緒方先生の診療所に勤めてた頃、休憩時間に整理できるからと持ち込んでたの。お陰で屋敷が燃えてしまっても、これだけは残ってたんだ。だから戦場に向かう時も、ずっと大事に持ってたの」
一枚、また一枚とめくる度に思い出されるあの頃の記憶。子供達が生き生きとした表情で写る中には、銀時や高杉、桂の姿も混ざっていた。
その中に一枚だけ、どの写真よりもクシャクシャになり、所々に血痕の残る物があって銀時の目を引く。
「こいつがそうか?」
一度破れたのか、テープで補修された写真を手に取った銀時は、そこに写る懐かしい姿にグッと喉を詰まらせた。
「松陽……ッ!」
記憶に残る姿と寸分違わず、優しい笑顔をファインダーに向けている松陽。そこに一緒に写っているのは、銀時と柚希だった。
「いつも私は撮るばかりだからって、親父様の提案で高杉くんと桂くんに撮ってもらったんだよね。覚えてる?」
「ああ。カメラを落としちゃいけないってんで、二人掛かりで必死に撮ってたよな」
「これだけ沢山の写真を撮っていたにも拘らず、三人で撮った物はこれしか無かったから、何があってもこの一枚だけは持ち歩きたいって着物の内側に縫い留めてたらしいの。牢で再会した時にこれを見せられた時は驚いたわ。だから……」
写真の中の松陽をそっと撫でる柚希の目に、涙が溢れる。
「松陽の形見だと言って、朧がこれを渡してきた段階で私は確信しちゃってた。親父様はもうこの世にはいないんだって……私は親父様を助けられなかったんだって……」
「柚希……っ!」
ポロポロとこぼれ落ちる涙を拭いもせず、静かに泣く柚希の肩を抱き寄せた銀時。だが彼の目にもまた、涙が浮かんでいた。