第三章 〜夜叉〜(70P)
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「何故そんなに嬉しそうな顔をする。お前は今捕らわれの身で、連れて行かれるのは牢だ。行けば松陽の死体が転がっているかもしれない。例え生きていたとしても、松陽の前でお前が殺されるのかもしれない。そんな事も考えられないのか?」
柚希の表情の変化に呆れた朧は、冷たく言い放つ。だが柚希は小さく笑みを見せてそれに答えた。
「親父様が生きてるのは、『松陽のいる牢』って言葉からも明白だから、それさえ分かれば私の事はどうでも良いの。未だに詳しい事は分からないけど、親父様とあんたとの間には……私たちの知り得ない深い絆があるんでしょ。悔しいけど、それが今親父様を延命させている理由なんだとしたら、感謝するわ」
そこまで言った柚希の眦には、涙が浮かんでいる。
「ほんとに良かった、生きててくれて……やっと……親父様に会えるんだ……」
ホッとしたように目を瞑れば、その涙はポロリと地面に流れ落ちた。
「親父様は無事だったよ、シロ……」
松陽の無事が分かり、今自分が緊迫した状況の中にいる事を一瞬忘れた柚希が思わず口にしたのは、銀時の名。だがそれは、朧の癪に触ってしまったようだ。
「シロ、とは白夜叉の事か?」
ビクリ。柚希の体が大きく震える。とても静かに、でも一瞬で血の気が引くほどに鋭く冷たい声は、柚希の表情を凍りつかせた。
「こんな時でも……変わらずお前たちは、深い絆で結ばれているようだな」
怯えた目の柚希から一旦視線を外し、懐に手を入れる朧。
「松陽と言いお前と言い、何故そんなにもあの男を気にする?」
取り出した包みを開き、その内の一つを掴んだ朧は、柚希の横に膝を付いた。先ほど天人たちに襲われた事で着崩れた柚希の胸元に視線を向けると、襟をつかんで更に大きく広げて肌を露わにさせる。
「や……っ!」
再び訪れた恐怖に柚希が身を竦めた事などお構いなしに、朧は手に持っていた物を柚希の左胸へと押し付けた。
「……っ!」
肌の表面にチリ、とした痛みが走る。だがその痛みは一瞬だった。訳が分からず胸元に視線を向けてみるも、柚希の目に映ったのは、何かを押し付けられたことで少し赤くなった程度の自分の肌だ。
「何をしたの……?」
見た目にも、感覚的にも異常は無い。だが朧が自分の体に何かをした事は明白だった。
「今のは一体何なのよ!」
怒鳴る柚希を物ともせず、包みに残っていた小さな瓶を取り出した朧は、躊躇なく蓋を開けて口に含む。再び柚希を見ると、未だ体の自由が利かずに横たわったままの柚希にその顔を近付けた。
柚希の表情の変化に呆れた朧は、冷たく言い放つ。だが柚希は小さく笑みを見せてそれに答えた。
「親父様が生きてるのは、『松陽のいる牢』って言葉からも明白だから、それさえ分かれば私の事はどうでも良いの。未だに詳しい事は分からないけど、親父様とあんたとの間には……私たちの知り得ない深い絆があるんでしょ。悔しいけど、それが今親父様を延命させている理由なんだとしたら、感謝するわ」
そこまで言った柚希の眦には、涙が浮かんでいる。
「ほんとに良かった、生きててくれて……やっと……親父様に会えるんだ……」
ホッとしたように目を瞑れば、その涙はポロリと地面に流れ落ちた。
「親父様は無事だったよ、シロ……」
松陽の無事が分かり、今自分が緊迫した状況の中にいる事を一瞬忘れた柚希が思わず口にしたのは、銀時の名。だがそれは、朧の癪に触ってしまったようだ。
「シロ、とは白夜叉の事か?」
ビクリ。柚希の体が大きく震える。とても静かに、でも一瞬で血の気が引くほどに鋭く冷たい声は、柚希の表情を凍りつかせた。
「こんな時でも……変わらずお前たちは、深い絆で結ばれているようだな」
怯えた目の柚希から一旦視線を外し、懐に手を入れる朧。
「松陽と言いお前と言い、何故そんなにもあの男を気にする?」
取り出した包みを開き、その内の一つを掴んだ朧は、柚希の横に膝を付いた。先ほど天人たちに襲われた事で着崩れた柚希の胸元に視線を向けると、襟をつかんで更に大きく広げて肌を露わにさせる。
「や……っ!」
再び訪れた恐怖に柚希が身を竦めた事などお構いなしに、朧は手に持っていた物を柚希の左胸へと押し付けた。
「……っ!」
肌の表面にチリ、とした痛みが走る。だがその痛みは一瞬だった。訳が分からず胸元に視線を向けてみるも、柚希の目に映ったのは、何かを押し付けられたことで少し赤くなった程度の自分の肌だ。
「何をしたの……?」
見た目にも、感覚的にも異常は無い。だが朧が自分の体に何かをした事は明白だった。
「今のは一体何なのよ!」
怒鳴る柚希を物ともせず、包みに残っていた小さな瓶を取り出した朧は、躊躇なく蓋を開けて口に含む。再び柚希を見ると、未だ体の自由が利かずに横たわったままの柚希にその顔を近付けた。