第三章 〜夜叉〜(70P)
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「私ね、今も未だ葛藤してるんだ。シロと一緒にいたい気持ちと、一緒にいたらいけないって気持ち。全てを知って欲しいって気持ちと、知られたくない気持ち。いくつもの思いがせめぎ合ってて、自分でもどうしたら良いのか分からないのよ」
朝を迎えるまでの数時間にも、出した答えが何度も胸の内で覆されていた。
目の前に銀時はいても、語り掛ける事は出来ない。ただ静かに流れる時の中、頭の回転の速い柚希が一人自問自答するには、時間があり過ぎた。
「シロが目を覚ますまでに、答えを決めておきたかったのに、考え過ぎて朝になっても迷っていたら、さっき突然お登勢さんが来たのよ」
「そういや、新八たちを連れ出したって言ってたな。何の用事だったんだ?」
柚希の葛藤している話に、何故お登勢が出てくるのかが分からず、銀時が訝しげに聞く。
「買い物の荷物持ちとして、新八くんと神楽ちゃんを呼びに来たと言ってはいたけど……多分本当は、私の背中を押しに来てくれたんだと思う」
「背中を? どっかから突き落とされそうにでもなったか?」
「そういう事じゃなくて!……お登勢さんが言ってくれたのよ。『自分で答えが見つけられないなら、銀時に聞いてみな。あいつにも少しは頭を使わせておやりよ。でなきゃますます天パが酷くなっちまう』ってね」
「そこ天パ関係あるぅッ!?」
鋭いツッコミを入れた銀時だったが、その口元は笑っていた。
このかぶき町で一番最初に銀時を受け入れ、居場所を作ってくれた存在であるかぶき町の女帝、お登勢。その彼女がこうして柚希を気にかけているという事は、この街も銀時同様、柚希を受け入れているという事に相違ない。それを自分に伝える為にお登勢が動いたのだろうと、この時銀時は察した。
「ほんと、食えねーババアだな」
そう悪態をついたものの、二人きりの方が話しやすいだろうという、完璧な配慮をしたお登勢に、銀時は感謝した。
「だから、ね」
柚希が、話を続ける。
「一番卑怯な答えになるけど……このまま一緒にいても良いか、それとも出て行くべきか。聞かれた事には全て包み隠さず答えるから、結論を委ねても良い?」
それが、お登勢に背中を押された事で、柚希の出した結論だった。とは言えやはり不安があるのか、声が少し震えている。
そんな柚希に対して、銀時はあっけらかんと言った。
「バァカ。結論なんて最初から決まってんだろ。柚希はずっと俺の側にいる。それ以外の選択肢なんかねーよ」
「即答なの!? まずは私の話を聞いてから……」
「ごちゃごちゃ言いっこなしだ。話は聞くが、何があろうと俺は柚希を受け入れる。そんくらいの器、銀さんは持ってるからね」
「シロ……」
「だから心配すんな。お前は安心して、俺と一緒にいればいーの」
幼い頃から変わらない、いたずらっ子のような笑顔でニッと笑えば、柚希が苦笑する。ただしそれは呆れている訳ではなく、銀時らしいと納得してしまった苦笑いだった。
朝を迎えるまでの数時間にも、出した答えが何度も胸の内で覆されていた。
目の前に銀時はいても、語り掛ける事は出来ない。ただ静かに流れる時の中、頭の回転の速い柚希が一人自問自答するには、時間があり過ぎた。
「シロが目を覚ますまでに、答えを決めておきたかったのに、考え過ぎて朝になっても迷っていたら、さっき突然お登勢さんが来たのよ」
「そういや、新八たちを連れ出したって言ってたな。何の用事だったんだ?」
柚希の葛藤している話に、何故お登勢が出てくるのかが分からず、銀時が訝しげに聞く。
「買い物の荷物持ちとして、新八くんと神楽ちゃんを呼びに来たと言ってはいたけど……多分本当は、私の背中を押しに来てくれたんだと思う」
「背中を? どっかから突き落とされそうにでもなったか?」
「そういう事じゃなくて!……お登勢さんが言ってくれたのよ。『自分で答えが見つけられないなら、銀時に聞いてみな。あいつにも少しは頭を使わせておやりよ。でなきゃますます天パが酷くなっちまう』ってね」
「そこ天パ関係あるぅッ!?」
鋭いツッコミを入れた銀時だったが、その口元は笑っていた。
このかぶき町で一番最初に銀時を受け入れ、居場所を作ってくれた存在であるかぶき町の女帝、お登勢。その彼女がこうして柚希を気にかけているという事は、この街も銀時同様、柚希を受け入れているという事に相違ない。それを自分に伝える為にお登勢が動いたのだろうと、この時銀時は察した。
「ほんと、食えねーババアだな」
そう悪態をついたものの、二人きりの方が話しやすいだろうという、完璧な配慮をしたお登勢に、銀時は感謝した。
「だから、ね」
柚希が、話を続ける。
「一番卑怯な答えになるけど……このまま一緒にいても良いか、それとも出て行くべきか。聞かれた事には全て包み隠さず答えるから、結論を委ねても良い?」
それが、お登勢に背中を押された事で、柚希の出した結論だった。とは言えやはり不安があるのか、声が少し震えている。
そんな柚希に対して、銀時はあっけらかんと言った。
「バァカ。結論なんて最初から決まってんだろ。柚希はずっと俺の側にいる。それ以外の選択肢なんかねーよ」
「即答なの!? まずは私の話を聞いてから……」
「ごちゃごちゃ言いっこなしだ。話は聞くが、何があろうと俺は柚希を受け入れる。そんくらいの器、銀さんは持ってるからね」
「シロ……」
「だから心配すんな。お前は安心して、俺と一緒にいればいーの」
幼い頃から変わらない、いたずらっ子のような笑顔でニッと笑えば、柚希が苦笑する。ただしそれは呆れている訳ではなく、銀時らしいと納得してしまった苦笑いだった。