第三章 〜夜叉〜(70P)
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「答える気力も無いか……まあ無理も無い。お前は決して、私から逃れる事は出来ないのだからな」
そう言うと朧は、柚希の首筋に強く吸い付く。チリ、と焼け付くような痛みが走り、顔を歪めた柚希の首筋には、はっきりと赤い印が刻まれていた。
「これをあの男が見たら、どう思うか。誰よりもお前にご執心のようだからな」
「な……んで、こんな……」
「不満なら、もっと深い場所に俺の存在を刻みつけるが? 今ここでお前を……」
「やめてっ!」
先ほどまでの無気力さが嘘のような殺気が、柚希の全身から吹き出す。だがその殺気を物ともせず、朧は笑っていた。
「今更焦る事もあるまい。俺はお前の全てを知り尽くしている。お前も俺を受け入れたと言う事実が忘れられないから、こうして怯えているのだろう?」
「違う! 私は……っ」
「俺の腕の中で懇願した事を、よもや忘れてはいまい」
「違う……違うっ! あの時は親父様が……」
「例え松陽の為であったとしても、お前が自ら俺に差し出した物が何か。その事実は変わらない」
「お願い、もう……やめて……」
「俺を見て思い出したのでは無いか?」
そう言うと朧は、柚希の耳に息がかかるほどの距離に口を近付け、囁く。
「あの時の熱、感覚、そして……」
追い込むように柚希の耳を舌で舐めあげた朧は、ビクリと反応を示す柚希の姿に鼻で笑った。
「お前の中にある枷を」
「いやぁ……っ」
悲しみと恐怖で、涙を流しながら柚希が首を横に振っても、朧の責め苦は終わらない。耳を舐っていた舌がそのまま首筋を這い、柚希が反応を示す箇所を何度も往復すれば、やがて吐息も熱くなっていく。
「おねが……も、やめ……っ」
「お前に拒否の権限を与えた覚えは無い」
柚希の熱とは裏腹に、返された答えは刺すように冷たくて。
もう、我慢ができなかった。
「シロ……っ」
今この場で決して口にしてはいけない者の名を、呼んでしまう。
「柚希、お前……!」
柚希の言葉に一瞬、朧の瞳が揺れた。
「……っく、シ……ロぉ……っ!」
「黙れ……黙れっ!」
冷静だったはずの朧が、突如怒り出す。こめかみに浮き出た血管は、その激しさをあらわにしていた。
「シロ……」
「黙れと言って……!」
「は〜い、そこまで。これ以上大事なうちの子をいじめるのはやめてくんない?」
気の抜けたような声と、ドスッと朧の足元に何かが落ちて来た音が同時に耳に届く。
ハッとして見上げた柚希と朧が見たのは、同じ物でありながら全く違う存在だった。
「シロ……っ!」
そう言うと朧は、柚希の首筋に強く吸い付く。チリ、と焼け付くような痛みが走り、顔を歪めた柚希の首筋には、はっきりと赤い印が刻まれていた。
「これをあの男が見たら、どう思うか。誰よりもお前にご執心のようだからな」
「な……んで、こんな……」
「不満なら、もっと深い場所に俺の存在を刻みつけるが? 今ここでお前を……」
「やめてっ!」
先ほどまでの無気力さが嘘のような殺気が、柚希の全身から吹き出す。だがその殺気を物ともせず、朧は笑っていた。
「今更焦る事もあるまい。俺はお前の全てを知り尽くしている。お前も俺を受け入れたと言う事実が忘れられないから、こうして怯えているのだろう?」
「違う! 私は……っ」
「俺の腕の中で懇願した事を、よもや忘れてはいまい」
「違う……違うっ! あの時は親父様が……」
「例え松陽の為であったとしても、お前が自ら俺に差し出した物が何か。その事実は変わらない」
「お願い、もう……やめて……」
「俺を見て思い出したのでは無いか?」
そう言うと朧は、柚希の耳に息がかかるほどの距離に口を近付け、囁く。
「あの時の熱、感覚、そして……」
追い込むように柚希の耳を舌で舐めあげた朧は、ビクリと反応を示す柚希の姿に鼻で笑った。
「お前の中にある枷を」
「いやぁ……っ」
悲しみと恐怖で、涙を流しながら柚希が首を横に振っても、朧の責め苦は終わらない。耳を舐っていた舌がそのまま首筋を這い、柚希が反応を示す箇所を何度も往復すれば、やがて吐息も熱くなっていく。
「おねが……も、やめ……っ」
「お前に拒否の権限を与えた覚えは無い」
柚希の熱とは裏腹に、返された答えは刺すように冷たくて。
もう、我慢ができなかった。
「シロ……っ」
今この場で決して口にしてはいけない者の名を、呼んでしまう。
「柚希、お前……!」
柚希の言葉に一瞬、朧の瞳が揺れた。
「……っく、シ……ロぉ……っ!」
「黙れ……黙れっ!」
冷静だったはずの朧が、突如怒り出す。こめかみに浮き出た血管は、その激しさをあらわにしていた。
「シロ……」
「黙れと言って……!」
「は〜い、そこまで。これ以上大事なうちの子をいじめるのはやめてくんない?」
気の抜けたような声と、ドスッと朧の足元に何かが落ちて来た音が同時に耳に届く。
ハッとして見上げた柚希と朧が見たのは、同じ物でありながら全く違う存在だった。
「シロ……っ!」