第三章 〜夜叉〜(70P)
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まさかと思い、柚希を気にしながらも草むらに走り寄ると、そこにいたのは真っ青な顔をして放心状態の高杉と桂。そして難しい顔をしながら、二人を守るようにしてこちらを振り向いたのは――。
「畑中のおっさん!」
カラクリ師の畑中だった。
実は少し前から、銀時たちは畑中と繋がっている。最初に接触を図ってきたのは畑中であり、今回柚希との戦い方の手解きをしたのもこの男だった。
「よぉ、坊主。やっぱ手遅れだったな」
「何だよやっぱって。一体何が起きてんだ?」
銀時が畑中の出現に驚きながら言うと、眉間に深いしわを寄せながら畑中が答える。
「初めて会った時から危なっかしい嬢ちゃんだったからな。暴走させないよう周りから固めるために、お前さんたちをぶつけてみたんだが……あの嬢ちゃんの方が一枚上手っつーか、イかれてたわ」
「イかれてるってどういう事だ?」
柚希の悪口を言われていると受け止めたのか、銀時が噛みつくように言えば、畑中は苦笑した。
「イかれてるってのは言い過ぎたな。だが実際、普通の神経じゃできねぇ事をやらかしてんだよ」
「だから何をやったってんだ?」
「どこぞで天人が攘夷志士狩りをしていたのを見て、嬢ちゃんが助けに入っちまってたらしい。他にも事ある毎に、天人がらみの問題に首を突っ込んでたんだと」
「天人と直接やりあってたって事か? いつの間にそんな事……」
柚希は毎日必ず診療所に出て患者を診ていた。それは診療所の手伝いをしている銀時も目にしているから間違いない。しかもこの辺りには滅多に天人など現れない事から、そのようなトラブルに巻き込まれているなんて考えもしなかった。
「天人がどの程度の輩だったかは知らねーが、噂じゃ相当コテンパンにやられたらしくてな。回を重ねる毎に嬢ちゃんの噂が広がっていったんだと。今じゃ『姫夜叉』と呼ばれて、ちょっとした有名人になっちまってるらしい」
「ちょっと待てよ! 姫夜叉って何だ? 意味分かんねーんだけど」
「ああ。天人を倒す時の嬢ちゃんは、夜叉のように恐ろしく冷酷だったそうだ。それで最初は夜叉の娘と言われていたが、どこぞで嬢ちゃんに助けられた奴が知り合いだったのか『姫』と呼んだらしくてな」
「それって、診療所の一部の患者が呼んでる名だぜ」
「って事は、助けられたのは患者だったのかもな。とにかくそれがそのまま組み合わさって、天人の間では『姫夜叉』の名で広まってるって話だ」
「何だよそれ……話がめちゃくちゃじゃねーか」
突然の話についていけず、頭を抱える銀時。しかし話はそれだけでは無かった。
「畑中のおっさん!」
カラクリ師の畑中だった。
実は少し前から、銀時たちは畑中と繋がっている。最初に接触を図ってきたのは畑中であり、今回柚希との戦い方の手解きをしたのもこの男だった。
「よぉ、坊主。やっぱ手遅れだったな」
「何だよやっぱって。一体何が起きてんだ?」
銀時が畑中の出現に驚きながら言うと、眉間に深いしわを寄せながら畑中が答える。
「初めて会った時から危なっかしい嬢ちゃんだったからな。暴走させないよう周りから固めるために、お前さんたちをぶつけてみたんだが……あの嬢ちゃんの方が一枚上手っつーか、イかれてたわ」
「イかれてるってどういう事だ?」
柚希の悪口を言われていると受け止めたのか、銀時が噛みつくように言えば、畑中は苦笑した。
「イかれてるってのは言い過ぎたな。だが実際、普通の神経じゃできねぇ事をやらかしてんだよ」
「だから何をやったってんだ?」
「どこぞで天人が攘夷志士狩りをしていたのを見て、嬢ちゃんが助けに入っちまってたらしい。他にも事ある毎に、天人がらみの問題に首を突っ込んでたんだと」
「天人と直接やりあってたって事か? いつの間にそんな事……」
柚希は毎日必ず診療所に出て患者を診ていた。それは診療所の手伝いをしている銀時も目にしているから間違いない。しかもこの辺りには滅多に天人など現れない事から、そのようなトラブルに巻き込まれているなんて考えもしなかった。
「天人がどの程度の輩だったかは知らねーが、噂じゃ相当コテンパンにやられたらしくてな。回を重ねる毎に嬢ちゃんの噂が広がっていったんだと。今じゃ『姫夜叉』と呼ばれて、ちょっとした有名人になっちまってるらしい」
「ちょっと待てよ! 姫夜叉って何だ? 意味分かんねーんだけど」
「ああ。天人を倒す時の嬢ちゃんは、夜叉のように恐ろしく冷酷だったそうだ。それで最初は夜叉の娘と言われていたが、どこぞで嬢ちゃんに助けられた奴が知り合いだったのか『姫』と呼んだらしくてな」
「それって、診療所の一部の患者が呼んでる名だぜ」
「って事は、助けられたのは患者だったのかもな。とにかくそれがそのまま組み合わさって、天人の間では『姫夜叉』の名で広まってるって話だ」
「何だよそれ……話がめちゃくちゃじゃねーか」
突然の話についていけず、頭を抱える銀時。しかし話はそれだけでは無かった。