第三章 〜夜叉〜(70P)
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「なァ、柚希。自分で気付いてねェんだろうけど今のお前のツラ……見てらんねーよ。松陽を連れ去られて悔しいのは分かるが、冷静さを失っちまったら勝てるモンも勝てなくなっちまう。必死になる事と無茶をする事は違うって、松陽も言ってただろ?」
「……そうかも、ね」
「確かにお前は強ェよ。多分今俺たちの中で一番力があるのはお前だ。でも真っ先に命を失うのも……お前だよ、柚希」
「何でそんな事が言いきれるのよ」
「分かんねーのかよ。戦場が、全て真っ向勝負だとでも思ってんのか? しかも相手は天人だ。不意打ちどころか全く常識が通用しないかもしれねェんだぞ! それに強ければ強い程、向こうは卑怯な手を使って潰しにかかってくるのは目に見えてる。それだけじゃねェ。大の男でも生き延びるのは難しい場所に、女のお前が出て行ったらどうなるか……」
銀時がそこまで言った時だった。
突き刺さるように鋭い殺気を感じ、桂が瞬時にその場を飛び退く。と同時に解放された柚希は、即座に懐に入れていた最初の扇子を取り出した。
「もう少し時間があるかと思ってたけど……でも後悔しちゃいられないわね」
小さく呟きながら、柚希はゆっくりと扇子を開く。そして周囲を探るように確認すると、大きく息を吸い込み、銀時たちに向けて叫んだ。
「だったら見てなさいよ」
突如走り出した柚希は、何故か銀時たちから離れていく。
「柚希?」
思いもよらぬ柚希の行動に驚き呆気に取られていると、何処からともなく現れた天人と思しき者たちが三人の横を素通りし、柚希を追いかけて行った。
「何だあいつら……?」
「分からぬが、柚希を狙っているようだ」
「おい銀時! 加勢に行かなくて良いのかよ」
「行くに決まってんだろ!」
慌てて三人は後を追ったが、天人たちの足はとてつもなく速く、追いつけない。先を走っていた柚希も逃げ切れないと察したのか、遠くに立ち止まってこちらを振り向いていた。
「間に合わねェ!」
分かってはいても、何とかせねばと必死に走る三人。
――ところが、だ。
天人たちは柚希に襲い掛かるものの、あっさりと倒れて行く。柚希が扇子を振り上げてから、たった数秒で全ての天人は地に伏し、立っているのは柚希だけとなっていた。
「……そうかも、ね」
「確かにお前は強ェよ。多分今俺たちの中で一番力があるのはお前だ。でも真っ先に命を失うのも……お前だよ、柚希」
「何でそんな事が言いきれるのよ」
「分かんねーのかよ。戦場が、全て真っ向勝負だとでも思ってんのか? しかも相手は天人だ。不意打ちどころか全く常識が通用しないかもしれねェんだぞ! それに強ければ強い程、向こうは卑怯な手を使って潰しにかかってくるのは目に見えてる。それだけじゃねェ。大の男でも生き延びるのは難しい場所に、女のお前が出て行ったらどうなるか……」
銀時がそこまで言った時だった。
突き刺さるように鋭い殺気を感じ、桂が瞬時にその場を飛び退く。と同時に解放された柚希は、即座に懐に入れていた最初の扇子を取り出した。
「もう少し時間があるかと思ってたけど……でも後悔しちゃいられないわね」
小さく呟きながら、柚希はゆっくりと扇子を開く。そして周囲を探るように確認すると、大きく息を吸い込み、銀時たちに向けて叫んだ。
「だったら見てなさいよ」
突如走り出した柚希は、何故か銀時たちから離れていく。
「柚希?」
思いもよらぬ柚希の行動に驚き呆気に取られていると、何処からともなく現れた天人と思しき者たちが三人の横を素通りし、柚希を追いかけて行った。
「何だあいつら……?」
「分からぬが、柚希を狙っているようだ」
「おい銀時! 加勢に行かなくて良いのかよ」
「行くに決まってんだろ!」
慌てて三人は後を追ったが、天人たちの足はとてつもなく速く、追いつけない。先を走っていた柚希も逃げ切れないと察したのか、遠くに立ち止まってこちらを振り向いていた。
「間に合わねェ!」
分かってはいても、何とかせねばと必死に走る三人。
――ところが、だ。
天人たちは柚希に襲い掛かるものの、あっさりと倒れて行く。柚希が扇子を振り上げてから、たった数秒で全ての天人は地に伏し、立っているのは柚希だけとなっていた。