第三章 〜夜叉〜(70P)
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「いきなり何してくれてんだ? 俺はその松陽とやらを連れ去った輩じゃねぇぞ」
「分かってます。でも貴方はあの男たちと戦ったことがあるんですよね?……だから知りたかったんです」
「はぁ? 何の事だよ」
「襲ってきたのは……編み笠を被り、錫杖を持った男たちでした」
「なっ……!」
驚きで畑中が目を見開く。冗談だろうと流してしまいたかったが、柚希の真剣な表情は、それを許してはくれなかった。
「よりによって編み笠再登場かよ。最悪の展開のようだな。……嬢ちゃんは二度も天導衆に親を奪われたってか」
苦虫を噛み潰したような顔で言った畑中を締め付ける糸が一瞬、強く締まる。「ぐっ」と痛みに体が硬直したが、さすがカラクリ師と言うべきか、柚希が気付いた時にはもうその束縛から逃れていた。
「自分の発明だ。外す術くらい心得てるさ」
そう言った時には力強く糸が引かれ、柚希の手から扇子が奪われる。
唇を噛み締めながら肩を震わせている柚希にしばし考え込んでいた畑中だったが、頭をガシガシとかき回してハァっと大きなため息を吐いた。
「こうなったら嬢ちゃんの腹ん中のモン、ここで全部吐き出してみろ。今の攻撃も、殺意はないが殺気はあった。相当切羽詰まってんだろ」
腕を上げ先ほど柚希が糸を絡めた所を見ると、相当深く食い込んだのか、血がにじみ出ている。
「あと少し反応が遅けりゃ、腕が無くなってたな。俺はカラクリは好きだが、サイ〇ガンを埋め込む技術までは持ってねぇぞ」
冗談のように言ってはいるが畑中は内心、穏やかでは無かった。
つい先ほど渡したばかりの、玉を二つ内蔵した扇子。初めこそ上手く扱えなかったものの、今はもうほぼ自分の思い通りに操れるようになっている。
畑中自身が作ったものだからこそ分かる、扱いの難しさ。
それを軽々と使いこなす柚希に、薄ら寒さすら覚えていた。
「遠慮はいらねぇ、はっきりと言え。ここに来た目的は何だ? そして何を知りたい?」
そう言いながら懐から手ぬぐいを出し、裂こうとする。それを見た柚希は畑中を制すると、自らの懐から包帯を取り出した。
「私が治療します。これでも緒方診療所で働いてるんです。それに怪我をさせたのは私ですから」
一緒に出した消毒液を傷口に吹きかける。そして包帯を巻きながら柚希は言った。
「分かってます。でも貴方はあの男たちと戦ったことがあるんですよね?……だから知りたかったんです」
「はぁ? 何の事だよ」
「襲ってきたのは……編み笠を被り、錫杖を持った男たちでした」
「なっ……!」
驚きで畑中が目を見開く。冗談だろうと流してしまいたかったが、柚希の真剣な表情は、それを許してはくれなかった。
「よりによって編み笠再登場かよ。最悪の展開のようだな。……嬢ちゃんは二度も天導衆に親を奪われたってか」
苦虫を噛み潰したような顔で言った畑中を締め付ける糸が一瞬、強く締まる。「ぐっ」と痛みに体が硬直したが、さすがカラクリ師と言うべきか、柚希が気付いた時にはもうその束縛から逃れていた。
「自分の発明だ。外す術くらい心得てるさ」
そう言った時には力強く糸が引かれ、柚希の手から扇子が奪われる。
唇を噛み締めながら肩を震わせている柚希にしばし考え込んでいた畑中だったが、頭をガシガシとかき回してハァっと大きなため息を吐いた。
「こうなったら嬢ちゃんの腹ん中のモン、ここで全部吐き出してみろ。今の攻撃も、殺意はないが殺気はあった。相当切羽詰まってんだろ」
腕を上げ先ほど柚希が糸を絡めた所を見ると、相当深く食い込んだのか、血がにじみ出ている。
「あと少し反応が遅けりゃ、腕が無くなってたな。俺はカラクリは好きだが、サイ〇ガンを埋め込む技術までは持ってねぇぞ」
冗談のように言ってはいるが畑中は内心、穏やかでは無かった。
つい先ほど渡したばかりの、玉を二つ内蔵した扇子。初めこそ上手く扱えなかったものの、今はもうほぼ自分の思い通りに操れるようになっている。
畑中自身が作ったものだからこそ分かる、扱いの難しさ。
それを軽々と使いこなす柚希に、薄ら寒さすら覚えていた。
「遠慮はいらねぇ、はっきりと言え。ここに来た目的は何だ? そして何を知りたい?」
そう言いながら懐から手ぬぐいを出し、裂こうとする。それを見た柚希は畑中を制すると、自らの懐から包帯を取り出した。
「私が治療します。これでも緒方診療所で働いてるんです。それに怪我をさせたのは私ですから」
一緒に出した消毒液を傷口に吹きかける。そして包帯を巻きながら柚希は言った。